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世界各国の名だたるデパートでショーケースにディスプレイされている美
しい包丁。海外の富裕層向けに高級包丁を製造しているのが大野ナイフ製
作所だ。大野社長がセレブをターゲットに商品開発を始めた理由、そして
これからの展望などを滋賀大学3年の小関さん、岐阜聖徳学園大学2年の
石原くんが取材しました。

海外の富裕層の間には、オープンキッチンでホームパーティーを開く習慣
がある。それまで、海外には日本の板前のように包丁にこだわりをもつ考
え方がなく、使用される包丁も一般的なものであった。そこでこの点に着
目し、海外の富裕層や料理人のニーズに答える包丁を送り出した企業、そ
れが大野ナイフ製作所だ。

大野社長は先代から事業を引き継ぐ際、それまでの仕事を一新し、「高級
包丁」への路線にこだわった。「必ず需要がある」その自信があったから
だ。大野社長は、世界に0.04%存在すると言われる富裕層にターゲッ
トを絞り、包丁を作ることを決意。「客層はピラミッドのような構造。一
般の人向けでは、低価格競争になり、需要も多様になる。ターゲットも
“ココ”と決めて、販売していく」と話す。客層を限定し、それに向けた
製品づくりに集中したことで、会社としてやるべきことが見えきたそうだ。
初めは月300本の販売から開始。当初は誰にも相手にされなかったそう
だ。しかし諦めず販売を続けた結果、世界各国から注文が入るようになり、
注文も増加していった。「この需要に対応できる供給力がなければ、ブラ
ンドとして確立できない」と考え、高い品質を保ちながら量産できる体制
を構築していく。最初に導入したのが、生産ラインの「機械化」。
大野ナイフ製作所が構える関市は刃物を伝統産業とし、さまざまな刃物製
品が製造されている。そしてその多くは分業制で生産されており、職人の
手作業によるところが大きい。だがそれでは需要に対応できる量を高品質
で仕上げていくことは難しいと判断。自社の生産効率を考えながら、機械
を導入し、工程を内製化。ただし必要な工程は手作業として残す。見て、
握り、触り、最高級の品質を同一に保つ工程は、やはり手作業でないと成
し得ないからだ。こうして、需要に対応できる生産スピードと最高級の品
質を確保した。

重要視しているのは機械化だけではない。大野社長は「人」についても考
える。社内は「管理をする人」と「作業をする人」に分けられる。前者は
生産性を考えながら品質を管理する者、後者は製品を図面通り正確に生産
していく者のことをいう。どちらも重要で、2つの歯車がうまく回ってこ
そ良い製品が生まれる、と話す。よって男女にかかわらず、入社後半年間
は管理・製造を経験し、全工程に携わる。そのうえでどちらに向いている
のかを本人の希望も考慮しながら判断する。まさに、適材適所の人員配置
となるわけだ。また、「プラスワン」という制度を導入している。これは、
生産性、コスト削減などについて、社員一人ひとりが明確な数字をあげ、
現状からの改善目標を掲げ、日々の業務に取り組んでいる制度だ。これら
の体制づくりの結果、15年前までは月300本の製造だった生産量も、今
では数万本を超える生産量をキープできるようになった。

「今、大野ナイフは波に乗っている。社員のためにも、途中で降りること
はできない。困難ではあるが、世界中のユーザーのためにずっと良いもの
を作りつづけていく努力が必要」と大野社長は語る。この使命感を胸に、
大野ナイフ製作所のブランド力はますます確立していく。

関市は刃物で有名な町であり、「刃物の町 関市」と呼ばれている。私た
ちが普段使っているハサミや爪切りといった製品の多くもここ関市で生産
されているものをよく見かける。ドイツのゾーリンゲン(Solingen)、
イギリスのシェフィールド(Sheffield)とならんで刃物の“3S”と呼
ばれている。そんな関市下有知にあるのが「大野ナイフ製作所」だ。実際
に、社長のお話を聞き、職場を見学させていただいた。

まず、第一に印象に残ったのが、大野社長の仕事に対する高い意識。情熱
やプライド、使命感の強さだ。大野ナイフ製作所は海外のセレブに向け、
1本何万円とする包丁を手がけている。そうともなるとやはり、世界最高
級の確かな品質が求められる。大野ナイフ製作所は世界で通用する最高級
の包丁を追い求め、日々チャレンジを続けているのである。
大野社長は常に世界レベルでものを見ていることも、海外のセレブを魅了
し続けている理由の一つであろう。
また、大野ナイフ製作所の魅力はそのような最高級の包丁を量産できる供
給力にもあるだろう。大野社長が海外のセレブ向けに高級包丁を展開しよ
うと決めた当初は、月に300本ほど生産できればと考えていた。しかし
実際には月に1,000本もの需要があったそうだ。包丁の質はそのまま
に生産力を上げていき、現在では月に数万本もの出荷をすることが可能だ。
「製造した品物は全てが良いものでないといけない」と語る大野社長。質
を保ちつつ、尚且つ多くの需要に応え続けるために、大野社長は90工程
もあるという作業をすべて見直すことから始めたそうだ。包丁の高品質を
保つために必要不可欠な手作業はそのまま残し、生産力をUPさせることが
可能は工程には機械を導入。手作業と効率的な機械での作業とを絶妙にマ
ッチングさせたのだ。

また、大野社長は、社員には切削や研磨など全ての工程を経験してもらい、
全体の流れを把握してもらっているという。これにより、全社員の技術向
上を目指し、より質の高い包丁を世に送り出すための努力を重ねている。
「世界を魅了する引き出しは、まだまだたくさん持っとるよ~」と笑みを
浮かべながら最後に語った大野社長。さらなるステージを視野にいれ、世
界を魅了しつづける大野ナイフ製作所から目が離せない。


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