株式会社タナックは、シリコーンを扱う会社である。シリコーンと聞いて
食品や電化製品を思い浮かべる人がいるだろうか。電子レンジ、炊飯器、
コーヒー、豆腐など、シリコーンはたくさんのものに使用されている。そ
れは食の安全が守られ、耐久性に優れているからである。タナックはこう
いったシリコーンの特性を活かし、主に、医療や美容製品、介護向けの製
品をつくっている。私が製品に関して特に注目したのは、医療関連である。

現代では、医療技術は進歩している。しかし、医師を育成するにあたって、
生きている人間を使い練習することはできない。つまり、練習するものが
ないのである。そこで、このシリコーンを使用して練習することができる。
なぜなら、血管や大腸などさまざまなものをこのシリコーンで再現するこ
とができるからである。タナックはこの医療関連の製品を安く、速く提供
する。特に、スピードにこだわっている。

その他には、女性が店頭では買いにくい商品を通販で販売している。例え
ば、陥没乳首を治すもの、胸の形を整えるもの、顔の皺をとるもの、足の
むくみを治すものなどを販売している。このようなものを通販で販売し、
少ない需要であるが、女性の悩みを解消している。

タナックの魅力は製品に関してだけではない。お客さまの要望に100％で
応えるのではなく、103、105％で応えるのである。具体的に、お客さま
がこのメーカーのシリコーンがほしいと言われ、その商品がなかった時が
あった。そこでありませんでしたと言えば取引は終了してしまう。しかし、
タナックは必死に探し、こういうものがありましたと提案する。このよう
なところが、他社とは違い、魅力的だと感じた。

さらに、棚橋社長は「大きな会議であろうと新入社員でもどんどん参加さ
せている」と仰っていた。私は、ここに最も魅力を感じた。私たちがタナ
ックの事務所に入った時も、新入社員の方が商品の説明を率先して行って
くれた。これは、棚橋社長が普段から新入社員の方にステージを作ってい
るからできる行動であると感じた。
ここまで、タナックの魅力について説明してきた。しかし、タナックは商
品をアピールする場として、ホームページか年に５回の展示会しか行って
いない。それだけで、ここまで期待されている企業になったのも、他社で
はできない付加価値の高いものをつくっているからではないだろうか。

株式会社タナックは、主に、シリコーン、クリスタルゲルなどの日本国内
での、加工販売を行っている会社である。

まず、同社を訪れてとても驚かされたことは、社員の皆様が、とても主体
的で、行動力がある方たちだ、と実感したことである。私たちが会社を訪
れた際、社長はお取込み中で、すぐに対応していただくことができなかっ
たわけだが、会議室へ向かう私たちを社員の方が引き留めて、「せっかく
なので、見て行ってください。」と声を掛けてくださり、入り口付近に展
示してある同社の製品を、手に触れてどのような製品かを説明してくださ
った。後に、社長に説明して頂いた社員の方のことを尋ねると、まだ入社
して半年も満たなかった社員の方であったと教えてくださった。正直自分
は、中堅社員の方だと思い込んでいたのでとても驚かされた。また、この
出来事で、会社に取材が来るということを、会社内で共有ができていなけ
ればできなかった対応だとも思った。

次にホームページを拝見して感じたことがある。「お客さまのご要望に対
し、満足とともに『感動』していただける提案をプレゼンテーションする」
という部分だ。これに対しとても興味がわいた。お客さまにどうやって感
動していただいているのかと。社長にお尋ねしたところ、「お客さまから
の要求を100だとしたら、その100の仕事をこなすだけでなく、103、105
にしてニーズに応え、これを常にやり続けることで感動を与える。」との
回答を頂いた。例えばであるが、通販業界の方から「こんな商品が欲しい」
と声を掛けていただいたら、その商品を考え、次の打ち合わせでは、無償
でサンプルを作成し、打ち合わせに持っていくと仰っていた。その時に
「スピード感と正確さ」を大切にしているという。商品の詳細が全くない
中で、サンプルを作ることはとても難しい。だが、それを行うことで、お
客さまを感動させていく。そして、そのお客さまが、新たなお客さまを運
んできてくれたら、会社にとって大きなプラスである。また、サンプルを
詳細がまったく決まっていない中、考え、作ることで、社員の方は想像力
が上がる。その過程を見ることが、社長はとても楽しいと仰った。

考えているからこそ、成功体験すればするほど成長していく。だからこそ、
初めに記したような、半年間未満でも、主体性のある素晴らしい社員の方
が育っているのだと思った。同社の社員の方は、新入社員でも、経済産業
省との話し合いの場に出席させるという。普通の会社では到底させてくれ
ないことだ。この会社の最大の魅力は、社員が半年間でも目まぐるしく成
長するこの環境を持っていることだと考える。

「ニッチの分野でのものづくり」を行っており、近年では医療業界に進出
している、シリーコン・クリスタルゲルを主に扱うモノづくりの会社であ
る。株式会社タナックは、あるものの要求(=ニーズ)だけでなく、ないも
のの要求(=シーズ)に携わるモノづくりをする点がたいへん魅力的である。
それは、社会で困っているところを早く見つけ、対策をすることでニッチ
の分野に素早く関わることができるという。

「世の中やお客様が喜んでくれると、自分も嬉しい」と述べる棚橋社長。
「感動」を与えることが仕事だと述べている。それは相手から要求された
ものを100%で提供することではなく、プラス3%、5%することにより100%
以上のものを提供することだと述べていた。

また、訪問時には社員の方々が進んで商品の説明をするために、仕事を中
断していた。その行動からは、社員一人ひとりが自社の商品に自信を持ち、
その凄さを伝えたいという想いがひしひしと伝わってきた。そんな社員の
方々に棚橋社長は「スゴイな」と思っているとのこと。また棚橋社長は、
「社員との暗黙な意思疎通ができればいい」と述べていたが、それが形と
なり、訪問時に自然と表れていたと思う。

「成功体験は必ず成長する」と述べる棚橋社長。その体験で一万円かかる
か一千万円かかるかに変わりはないという。成功体験は自分で考え、自分
で作るということであり、お客さまの感動をより大きくすることができる
とのこと。社長と社員の情報や考えが全て共有されており、会社が一丸と
なって活動していることが伝わってきた。
今後も社会貢献のために、困っているところを迅速に見つけ出し、素早く
対応することを続けていく。また、「クリスタルゲル・タフシロン・メデ
ィピュールといえばタナック」と、自社の商品の拡張も目指していくとい
う。

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