航空機部品の加工、航空機機体の組立・修理、ショベルカーなど超大型建
設機械の部品加工、3つの事業を柱に安定性と将来性を図っている水野鉄
工所。「ものづくりは経済の基本」と語る水野社長の言葉の奥にある深い
考えはどのように社員一人ひとりに浸透しているのか。愛知淑徳大学1年
の中島くんが水野社長、水野部長、宮川課長3名に取材しました。
今日、航空機を製造する過程において、日本企業はなくてはならない存在
である。その企業の一つに水野鉄工所がある。この会社は、油機事業、機
器事業、航空機事業を行っている。主な事業は、航空機事業で売上げの6
割を占めている。航空機の製造に関わるということは、人の命に大きく関
わることである。一つの部品が欠陥品のまま、航空機に組み付けられ大空
を飛んでしまったらどうなるのか?航空機部品を製造することは、航空機
の安全を保証することと同じ。ものづくりを通して、人の命を預かってい
るという非常に重要な仕事であると感じた。
水野鉄工所の魅力は、常に改善を心掛けているところだ。組立においてミ
スをなくすために、一つ一つの指示を全てパソコンから表示し、さらに、
作業時間も表示されるようになっていた。また、組立用の部品は点数が多
いため、すぐ見てわかるように部品の配置を決め、その位置に全ての部品
がないと作業が始まらないようになっていた。そして、航空機の部品を加
工するときに使用する刃物は、高額な上に数回使用しただけで処分してし
まうそうだ。
その刃物代がムダであると感じ、機械を導入し、刃物自体を水野鉄工所で
作ろうとしている。こうした改善を繰り返し行おうという姿勢に魅力を感
じた。
水野社長は「人間は勝手に悩む」と仰っていた。
そのため、水野社長は従業員に自ら気づいてもらうために、1か月に一度、
複数の従業員と直接話し合う場を設けている。
その場で、普段自分が思っていること、こうしたら良くなるのではなどの
意見を言い合う。社員にとっては、こうした場はとても良い場になってい
るのではないだろうか。
そして、水野社長は企業理念を大事にしている。驚いたことに企業理念の
大切さは、従業員にも伝わっている。実際に、航空機事業部の水野さんと
総務部の宮川さんは、100選の認定式のディスカッションで企業理念の
大切さについて話していたそうだ。企業理念の大切さを共有できていると
ころも水野鉄工所の魅力であると感じた。最後に、「国産の飛行機という
ものは現在ない。部品が作れて、機体はないというのは寂しい。国産の飛
行機が完成することにより、航空機産業の底上げとなる」
という水野社長の話を聞いて、よりおもしろい業界となっていくのではな
いだろうかと感じた。