「キツイ、キタナイ、キケン」のいわゆる3Kの仕事を請け負っている東清`。
廃棄物処理、下水処理など、私たちの生活を陰で支えてくれている。感謝す
べきは私たち住民の方だと思うのだが、吉村社長は「地域の方々への感謝」
を口にする。社員と社員の家族まで含めた配慮の素晴らしさを、名城大学2
年の酒井くん、中京大学3年の菊川さんが、しっかり聞いてきました。
東清`の魅力は「感謝の気持ちを忘れない」ことである。東清`とは中津川
市にある廃棄物処理、下水処理を請け負っている企業である。「『家庭で
困っていることを手助けしたい』という先代の思いでこの事業を始めた」
と、社長の吉村さんが話してくれた。
東清`は、岐阜県子育てエクセレント企業に認定されるほど福利厚生に重
点を置いている。それは社員の家族の理解が大切であり、その家族に恩
返しをしたいという考えがあるためだ。東清`の業務内容には先ほど挙げ
たように廃棄物処理がある。特に夏は生ごみなどの収集作業を行うと、
その生ごみの強いにおいが服に染み付いてしまう。そして家に帰ったら
においのある服を洗濯しなければならない。その服を洗濯してくれてい
るのはその社員の家族である。においのついた服を洗濯するということ
はとても大変なことであり、それでも社員を支えてくれている家族に対
して感謝してもしきれないという気持ちの表れが、福利厚生の充実に反
映されている。また、定期的に行われる健康診断では普通の会社より詳
しく行い、40歳以上からみられる生活習慣病の検査も家族がいる場合は
20歳代から受けさせる。東清`では健康な状態になるのも仕事であると
考えていて、問題があった場合、業務時間中に時間を作って病院に行く
機会を提供している。
また、社員さんから「私の奥さんが子供を産むときに先輩から有給を取る
ように勧められ、私の仕事を代わりに先輩がやってくれてありがたかった。
私に後輩ができて同じ状況になったら先輩と同じように休みを取らせて、
その家族のために時間を作れるようにしてあげたい」というお話を聞くこ
とができた。この話を聞いて社員同士でも支え合う気持ちがあると強く感
じた。
また、東清`は地域の方々も大切にしている。地域の方の理解がないと下
水処理の事業などができないからである。そこで、ごみ収集とともに地域
のパトロールも兼ねて行っている。パトロールの最中に倒れていたおばあ
さんを発見し、それによっておばあさんは命が助かったという話も聞いた。
ほかにも、人のために社員が率先して動いて助けたという話を聞いた。そ
のため、東清`には仕事以外にも感謝の電話などが掛かってくることがある。
小学生への環境教育も行っていて、小学生に下水処理の話をすると「お母
さんにも気をつけるように言う」などの感想があり、「子どもの一言の方
が私たちの一言より効果がある」と嬉しそうに話していた。
吉村さんは「もっと人の役に立つことをしていきたい」と取材中に話して
くれた。東清`はこれからも地域を支えて、より住みやすい空間を作って
くれると感じた。
東清`株式会社は、岐阜県中津川市で廃棄物処理と公共下水道の維持管理を
行っている。「世の中の当り前を支えている」と吉村社長が表現するこの
事業は、家庭で困っていることを助けられないかという思いから先代(創
業者)によって始まった。
東清`株式会社の魅力は、中津川の人々の生活を守っているというだけでは
ない。環境とともに考え、人とともに成長するという理念のもと、まちと
人を大切にする取り組みを行っている。
家族の理解を必要とする仕事であるため、「社員は家族、その家族も社員」
という考えのもと、ワーク・ライフ・バランスがとれるよう福利厚生の充
実や資格取得に向けた勉強会に力を入れている。なかでも、この少子化の
時代に子育てを行う社員を支援したいと、相談窓口の設置や教育手当の支
給のほか、有給を取りやすい雰囲気作りを心掛けている。これは、「お互
いが譲り合い、助けあっていくという雰囲気ができている」という入社10
年目の社員の言葉からも読み取れる。この取り組みが評価され、昨年、仕
事と家庭をともに大事にする職場環境づくりに積極的に取り組む企業を登
録する「岐阜県子育て支援エクセレント企業」の認定を受けた。
また、中津川の環境を守るため、清掃活動を定期的に行っている。社内で
は、廃棄物の収集活動中に困っている市民を助けたというエピソードが聞
こえてくることがある。仕事だけではなく、中津川のために活動するとい
う意識が習慣となって表れている。さまざまな形で地域貢献をしようとい
う社長の思いは、社長自らが行動することによって社員にも伝わっている。
これらの活動は県などから評価を得ているが、「これに甘んじることなく、
日々レベルアップしていきたい」と吉村社長は語っていた。今後も、思い
入れのある中津川に貢献するべく、全社員が同じ意識を持って活動を続け
ていく。この思いと日々の活動の積み重ねが、地域からの信頼に繋がって
いるのだろう。