患者の負担を減らす「人にやさしい医療機器」を開発、製造、販売をして
いるテルモ・クリニカルサプライ。バルーン付カテーテルの開発により、
がん患者の負担を減らすことに貢献している。画期的な医療機器を開発す
ることができるのはなぜか。岐阜大学３年の寺町さん、天野くんがその秘
密を探ってきました。

「国内初のバルーン付き血管造影用カテーテルを開発」、という素晴らし
いアピールポイントを聞いても、医療関係の勉強をしている人以外はぴん
とこないかもしれない。しかし、テルモ・クリニカルサプライは、そんな
人でも魅力を感じてしまう会社に違いない。なぜなら、医療器具メーカー
としての魅力だけでなく、商品についてきらきらした表情で熱く語る社長
と、社員が前のめりで成長しながら働いている会社、それがテルモ・クリ
ニカルサプライだからである。

同社は、人にやさしい医療機器をつくり、医療を通じて社会に貢献するこ
とを使命としている。「会社内はいつも自由闊達で社員が成長できる場で
あるべきだ」という筋の通った社長の考えは、私が何よりも魅力と感じた
ところである。そのような社風にすることによって、一人ひとりが自分の
やりたいことを自分の意見として言えるため、より良いものづくりができ
るのである。社員の成長のために、部署をまたいで携わることができるよ
うな仕組みにしたり、自由参加の研修などのバックアップ体制を整えたり、
社員が成長の機会を自らつかみにいけるような環境にしているのだ。「社
員の成長」、そして「より良いものづくり」は、すなわち「企業の成長」
につながる。「企業の成長」とは、自社の事業によって社会に貢献できる
ことであり、またより質の高いものを求めていくことである。この一貫し
た理念、「社員の成長」を基盤にすすめる会社づくり、これらがこの会社
の魅力だ。

医療用器具をつくっているということで、やはりドクターなどの医療関係
者との連携も欠かせない。ドクターの専門知識だけでは人にやさしいカテ
ーテルは作れない。しかし、ものづくりのプロからの専門的な目線だけで
も作れない。双方が協力しあい、意見を交換しながらでないとより良いも
のは作れないのである。普段から多くの医療関係者が訪れ、頻繁に会議を
しているのも、そのためである。

社内掲示板に貼られた社長の似顔絵、部署を超えた社員グループの写真、
社員による「カイゼン」の報告書、すれ違うすべての社員さんからの明る
い挨拶、社員と苗字で呼び合うフレンドリーな社長…。社長の筋の通った
考えと、「医療を通して社会に貢献する」という強い信念、そして社長だ
けでなく社員すべてに感じられる、自分たちの仕事へのやりがいと誇り。
これらのたくさんの魅力が、海外でも活躍し、離職率が２％以下という会
社を生んでいるのだと感じた。見たこともないあの細い管（カテーテル）、
細部まで詳しく説明してくださる社長の熱さ。こんな会社が岐阜にあると
いうことに誇りを感じる。私たちの生活、健康を陰ながら支えてくれてい
たこの業種に初めて興味がわいた。

テルモ・クリニカルサプライはがん治療やそのほかの治療で用いられるカ
テーテルの製造や開発など、先進的な医療機器の開発から製造までを行っ
ている会社である。今まで、国産初となるバルーン付き血管造影用カテー
テルの開発、ほかにも血管塞栓用ハイドロコイル「AZUR」の開発など多
くの製品を開発しており、現在腹部血管用カテーテルの分野で日本トップ
シェアを誇っている。

テルモ・クリニカルサプライが選ばれる製品をつくり、次々と質の高い製
品を生み出しているのはなぜだろう。そのカギは企業理念である「医療を
通じて社会に貢献する」に隠されていた。テルモ・クリニカルサプライは
医療を通じて社会に貢献するために新しいものをつくるだけではなく医療
の質を上げることを目標として掲げていた。医療の質を上げるために、生
産のプロである自分たちの意見だけで医療器具をつくらず、医療のプロで
ある医者との共同研究、開発を心掛けている。その共同研究の中で医者の
要望を取り入れ改良し、患者に合わせて何十種類ものカテーテルをつくり、
新しいカテーテルの開発を行っている。製品面をよくすること以外に、ト
レーニング施設を開設するという医者の技術をあげることにも力を注いで
いる。

テルモ・クリニカルサプライは約200名で研究、開発そして製造を行って
いる。私は一人ひとりの従業員の質がよく、そしてチームワークが良くな
いとこのような素晴らしい結果は残せないと考えた。実際、パンフレット
を確認すると社員は自らの成長を強く感じている。成長を促す秘訣は社員
が力を発揮しやすい環境をつくることだ。テルモ・クリニカルサプライの
考える環境というのは自由闊達な雰囲気づくりである。学べる場を多数用
意し、学ぶことを押し付けるのではなく自分から今必要なものを学んでい
くそんな雰囲気である。社員が成長しやすい、仕事をしやすい雰囲気が存
在した。その雰囲気をつくっているのは挨拶である。従業員全員が気持ち
の良い挨拶をしており、気持ちのいい職場であった。会社の通路の壁には
目標が掲げられ、ほかにも従業員手製の掲示物があった。自由な会社、働
いていて気持ちのいい会社であることがうかがえた。

テルモ・クリニカルサプライは2008年テルモグループに入り、日本だけ
ではなく海外にも市場を広げ、海外の医療にも貢献している。これからテ
ルモ・クリニカルサプライの活躍に期待していきたい。

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