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「自社でしか作れないもの」を突き詰め、ボーイング社など大手航空会社
からの厚い信頼を得ている、今井航空機器工業株式会社に名古屋市立大学
3年原田さん、岐阜大学3年天野くんが取材に伺いました。

今井航空機器工業株式会社の魅力は、今井社長の的確な判断力と、それに
伴って積まれた会社の実績だと思う。
航空機器メーカー事情は、私のよく知る自動車メーカーとは事情がとても
異なっていて、競争戦略の立て方で他社との差別化が非常に重要になって
くる。「ほかと同じことをやっていては生き残れない」と、今井社長は厳
しく語る。「他社が作れないものが作れる」、それが最大の武器となる業
界において、英断を繰り返してきた社長の優れた洞察力と決断力が今井航
空機器工業株式会社の強みなのだ。先進的でありながら、ただやみくもに
突き進むのではなく、いまの会社にとって必要なことは何で、何に投資を
するといい時期なのかという見極めをしっかりされている印象を受けた。

今は本社の生産能力強化に力を入れているようで、工場見学の際に近々完
成する新しい工場を見せていただいた。大きな機械がたくさんあり、価格
も教えていただいたが大変な設備投資である。これを決断する社長のプレ
ッシャーとは、計り知れないと思うのだが、そんなプレッシャーを押し退
けるくらい強い信念なのだということが伝わってきた。

最新の機械を他社に先駆けて導入し、 「唯一」作れる存在に一番早くな
ることで、ボーイング社をはじめとする大手航空会社から圧倒的な信頼を
得ているのだと感じた。
また、グローバル展開も盛んで、ベトナム、マレーシア、タイにも生産拠
点を持ち、現地スタッフのレベルも高い。
私は夏休みにゼミの研究の一環でアジアに進出している日系企業にいくつ
か会社訪問をさせていただいたが、やはりどこも現地の従業員の教育体制
に課題を多かれ少なかれ抱えていた。そんな中、今井航空機器工業株式会
社は、他の日系企業から職員を貸してほしいと言われるくらいベトナムの
現地職員の技術レベルが高く、これはとてもすごいことだと実感した。
「いち早く」「その時々に最適な」決断をし続けており、それに伴い企業
としての実績も着実に積んでいる。これが今井航空機器工業株式会社の強
みであると私は思う。

今井航空機器工業株式会社はもともと自動車部品をつくっていた会社であ
った。それが航空機の部品をメインにつくる会社にシフトチェンジした。
その後、航空機部品を一貫して生産する体制を整え、業界に先駆けNC旋盤
を導入し、3軸の加工機を5軸にするなど先進的なことを行ってきた。海
外にも工場を設立し、今では中小企業ではほとんどない世界の大手航空機
メーカーと直接契約を行っている。その根本にあるものは「他社に負けな
い」という気持ちを持ち、常に先を見て挑戦していくことだ。
しかし、この会社はやみくもに次々と挑戦しているわけではない。
例えば、ある機械を導入するのにも莫大なお金がかかり、それを導入して
失敗すると、かなりの損失を被るのだが、この会社は成功させている。そ
れは社長の判断力や先を見る力があるからである。
また、社長は海外進出する際、アメリカを視野に入れたが、リスクが高す
ぎると判断し進出しなかった。最近では、ベトナムに航空機の部品を作る
工場を設立することを考えたが、人員がネックになり、保留にした。これ
も的確な判断である。

このように、できるかできないかぎりぎりの仕事を判断して、やるかやら
ないかを決めている。それというのも、どこでもできる仕事では他社とは
差がつかないためである。しかし無理な仕事は引き受けず、少し無茶であ
り、なおかつ自分たちで行えるぎりぎりの仕事を判断している。

現在、日本での航空機器業界は大手企業があり、その一次下請けとしてい
ろんな会社がひしめいている状態である。社長は来年あたり大手の三菱を
中心として、航空機器業界の大きな動きがあると考えている。それは航空
機器業界のピラミッド化である。それは三菱がひしめいている一次下請け
の会社の中で力がある会社にだけ一次下請けを行い、一次下請けを受けた
会社がさらに下請けをし、それがさらに下へとなるシステムのことである。
社長はこの流れで一次下請け、つまり大手のパートナーになろうと努力し
ている。今、今井航空機器工業は工場を拡大しようとしている。そのため
には優秀な人材が多く必要になってくる。現在その人材は十分に足りてい
ない。そのため、これから人材育成に力を入れていこうと考えている。


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