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合紙(あいし)という、ガラスを重ねる際にその間に挟む保護紙を製造し
ている長良製紙。合紙はガラスを傷や汚れから守ることはもちろん、化学
変化による品質劣化を抑える役割も求められる。そんな合紙の役割と同じ
ように社員を守り、そして世の中の変化に対応してきた家田利一郎相談役、
家田禮子社長に愛知淑徳大学3年の服部さん、岐阜大学1年の吉村さんが
取材しました。

家田利一郎相談役は大学卒業後、長良製紙株式会社を設立した。大学卒業
後はすぐにでも会社を設立し経営をしていきたいと考えていたそうだ。そ
の根幹は、製紙業を営んでいた父親の仕事を幼いころから手伝ってきたこ
とにある。終戦直前、日本軍から「戦地に行っている兵士の最期に水を飲
ませてあげたいが物資がない。どうか紙で水筒をつくってくれ。」と家田
氏の父親に相談が来たそうだ。そこで考え出したものは、和紙にコンニャ
クイモをすりおろした液体をぬり、防水加工をする。防水加工した和紙を
水筒の形にし、その周りを竹で編んで保護する。そうすることで紙でも水
筒をつくることができるのである。このようなモノづくりを幼い頃から手
伝ってきたことが現在の家田氏につながっているのだ。
また、長良製紙株式会社は、「会社を伸ばすのは社員」という考え方から
「人」をとても大切にしている会社である。年二回、社長と社員が一対一
で30分間話をする「フリートーキング」を導入しており、仕事の話からプ
ライベートな話までするそうだ。そんな対応をする家田禮子社長はみんな
のお母さん的存在だ。仕事で失敗した社員に対しては怒るのではなく、ま
た失敗しないように理解させるようにしている。一方的に怒られているだ
けでは、失敗したことの大きさ重大さに気づかないかもしれない。しかし、
仕事の失敗がどれだけの損害がでているのかを直接知ることにより、こと
の大きさや重大さに気づき、責任感がうまれ、次回からは失敗を防ぐこと
ができるのである。

長良製紙株式会社は、もともとはトイレットペーパーを製造している会社
であった。しかし、消耗品ということもあり大手との価格競争に巻き込ま
れたくないと断念した。そこに、大手ガラスメーカーから「品質の良いガ
ラス合紙を作ってくれる会社はないか。」という噂を聞きつけ立候補。そ
こから長良製紙株式会社がガラス合紙メーカーとして成長していったので
ある。

現役を引退した家田氏は今でも毎朝6時に工場を回り、紙の色、におい、
製造の音を聞き、どのような品質の紙ができているのかが分かるそうだ。

「ハイ!やります!」
威勢よく右手を上げるのは長良製紙株式会社相談役、家田利一郎さんだ。
合紙(あいし)という、ガラスを重ねる際に、ガラスとガラスの間に挟み、
ガラスを汚れや傷から守る働きをする保護紙を専門に作るこの会社の初代
社長である。
「ガラスはアルカリ性だから、間に挟む合紙は酸性に…」と合紙の作り方
を教えて下さる相談役がモノづくりに目覚めたのは、太平洋戦争終戦間際
の出来事がきっかけ。当時小学校六年生だった相談役のお父さんが、軍か
ら「兵士のために紙製の水筒を作ってほしい」と嘆願された際、体の弱か
った父に代わって相談役が紙製の水筒を製造したのだ。しかし紙で水筒と
は…、一体どう作ったのか。「和紙にこんにゃくを塗ったんだよ。」その
答えに聞き手一同はこんにゃく!と驚いた。なんでも、和紙にこんにゃく
を塗ると、ラミネート加工のような状態になり、水を通さなくなるそうだ。

この水筒作りの経験を通じて、自分が作ったもので人に喜んでもらいたい
という気持ちを抱いた家田さんは、大学を卒業後、教授からの就職の勧め
を断って家業を継いだ。合紙一本で仕事をするようになってからは、建築
用ガラスから自動車のガラス、液晶画面、ソーラーパネルと挑戦する分野
を拡大させてきた。しかし相談役のアイデアはとどまることない。
「もっともっとやりたいことがある。ちょっと待ってと周りに言われるほ
ど。」
情熱に溢れる家田さん。しかし、今は自分を押し出しはしない。「だから
相談役でしょ。」笑いながら言われた。周りにも、自分でやりなさい、頼
るんじゃないと日々叱咤激励しているそうだ。「望まれれば赴く。頼まれ
ればする。」それが、相談役のスタンスだ。

そして相談役から仕事を引き継いだのが、現社長である奥さまだ。社長は
特に労使関係に力を注いでいる。そのことが一番顕著に表れているのが、
フリートーキングという取り組みだ。
フリートーキングとは、年に二回、ボーナス前の時期に社長自らが、社員
一人ひとりとマンツーマンで15~30分間会話する行事である。社長は社員
が話したことをメモを見ながら、「あなた、去年はこう言っていたけれど、
それからはどうなの。」と話を振ったりするそう。内容は、結婚のように
プライベートな話から、新製品の提案まで幅広い。この行事を始めて7年
が経つが、大変好評だそうだ。今では社員が、フリートーキングに備えて
社長に聞いてもらいたいネタをストックしていく例もあるという。
私も聞いてもらいたい。

労使一体となって進む企業、長良製紙株式会社。「会社を伸ばすのは社員」
力強いお言葉を頂いた。
今回話をしてくださった相談役、家田さんに今ほしいと思うのはどんな人
材であるかを伺ってみた。「優秀な経営者を目指す若者がほしい。ネタは
いくらでもあるから。」
ちなみに家田さん、会社でもお父さんのように慕われているが、プライベ
ートでは孫からも大人気なおじいちゃんである。「孫のほしいものを買っ
てあげるのも楽しみ。」チャーミングな笑顔に人柄があふれ出ていた。


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