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大手メーカーも取り入れる最新設備を導入し、品質を追求する東海牛乳。
「おいしい」「安い」「パッケージもいい」。顧客が求める要求にいかに
して応えているのか。品質へのこだわりの源泉は何なのか。岐阜大学1年
の吉村さん、大西さん、愛知淑徳大学3年の服部花歩さんが、一消費者と
しても気になることを井尾社長にお伺いしてきました。

東海牛乳株式会社は、東海地方で、牛乳のほか、アイスコーヒーやフルー
ツジュースなど、乳飲料や果汁飲料、清涼飲料を販売する企業だ。自分に
とって第二の地元である安八郡神戸町の企業ということで、どきどきしな
がら訪問した。そこで目にしたのは、厳しい飲料業界の中で創意工夫をす
る姿であった。

東海牛乳は、主にスーパーへ商品を卸売している。そこに第一の工夫があ
る。それは、商品が牛乳だけでなく、低脂肪乳、コーヒー牛乳、オレンジ
やグレープといったフルーツジュース、烏龍茶など、いわゆる「色モノ」
まで幅広く取り扱っているため、チルド商品を一括して購入してもらえる
ということだ。そうすることで、スーパー側も、コストダウンを図れると
いう。

また、スーパーとのやり取りに関してさらに驚いたことがある。それは、
工場見学通路から、実際に牛乳が紙パックに入って完成した状態で出てく
るラインを見ていたときだった。それまで赤い紙パックの商品が出てきた
のが、途中から青い紙パックになったのを見たからだ。中身は一緒でも、
パッケージがスーパーごとによって違うのだと社長が教えてくれた。パッ
ケージのデザインを、それぞれのスーパーと話し合って決定しているのだ
そうだ。そのことによって、スーパー同士が刺激しあわずに、価格設定を
できるのだという。なんと、パッケージにそんな一面があったとは。

紙パックそのものについてのお話にも驚きがあった。この紙パック、メイ
ドイン韓国である。なんでも韓国の企業側から売り込みがあったらしい。
その企業から買うようになって10年以上になる。年に一度、その企業へ視
察にも行き、そのときには数名の社員も同行するそうだ。「社員にとって
はバカンスですね」と社長。

製品開発の話では「なるほど」と思った。東海牛乳は、1年に1商品ずつ
新製品を開発している。20~30の案から一つ選んで集中的に取り組むそう
だ。今はというと、低脂肪牛乳を開発中である。「え?低脂肪乳はもう販
売しているのでは?」と頭にはてなマークを浮かべていると、「おいしい
けれど、少し値段の張る低脂肪乳と、低価格だけを徹底追及した低脂肪乳
の2種類がある。しかし、おいしくて、安い低脂肪乳をスーパーより依頼
されたので、今開発しているんだ」と社長が教えてくれた。なるほど、顧
客の困難なニーズに応えるのもまた企業に求められることなのだなと思っ
た。

このときに、さらに社長は教えてくれた。それは「リピートの秘密」であ
る。リピートは、まず1回目の購入。そしてそれ以降、繰り返し買っても
らうことで成り立つ。このとき、1回目は価格の安さで、2回目以降はお
いしさで消費者は動くのだ、と。確かにそうやって商品を買うことがしば
しばだと自分の行動を振り返った。
ここまでいろいろ教えて下さった社長に、お気に入りの自社製品を聞いて
みた。「ミックスジュースですね」。理由は、自社の色が一番出るからだ
そうだ。というのも、ほかの果汁飲料、たとえば濃縮還元100%オレンジ
ジュースは、濃縮果汁をそのまま還元するしかないため、メーカーはどん
なフレーバーにするかという香料くらいしか自由にできない。しかし、ミ
ックスジュースはそうではないのだ。ミックスジュースの場合、どの果汁
を、どの配合で混ぜるかを自由に決めることができる。そしてそれは、メ
ーカーの力量を一番発揮しやすいのだ。
今まで、市販の飲料の、原材料や香料の働きについて興味を抱いていたが、
今回その内容を直接詳しく聞くことができて本当に楽しかった。おいしく
て低価格な低脂肪乳が発売された時には、ぜひ私も買い求めたいと思う。

東海牛乳株式会社は創業から130年以上と、歴史と伝統のある会社だ。そ
んな歴史と伝統のある東海牛乳株式会社であるが、6年前までは中途採用
しかおこなっていなかった。現場の人材を補填するという形であり、経営
を担っていく若い社員がいなかったのだ。現在の代表取締役社長である井
尾社長が6年前に社長に就任し、すぐに新卒採用を導入していった。しか
し、新卒採用1年目はすぐにやめる人が続出。「何がいけなかったのか。
課題はなんなのか。」を模索していった。その結果、会社にとって最も大
切なのは「社員」であると気づき、理念を『社員とその家族を幸せにする』
というものにした。ここが、新しい東海牛乳株式会社へ変わっていく瞬間
であると感じた。

6年前まで勤務体制は2交代勤務制であり、会社が住宅街にあるため夜間
の騒音などが心配されていた。しかし、大手並みの生産設備を導入し、生
産能力を2倍にすることで、社員の夜間労働を減らすことを可能にし、さ
らに夜間の騒音の心配も減少していっている。このように、生産量を倍増
するためではなく、社員のために大規模な設備投資をおこない、働きやす
い環境づくりを創造していっている。

現在、東海牛乳株式会社は世界基準である「HACCP」と呼ばれる食品を製
造する際の安全管理手法があり、HACCP認定工場になるため現場改善に努
めている。そのためには現場に新しく入ってきた若者の発想が必要であり、
その発想がすぐに現場に取り入れられる。食品を製造するにあたり品質向
上にも大きく力を入れているのだ。さらに、認定工場になるため職域をこ
えたグループでルール作りや取り組みをおこなうことで会社全体の「和力」
を育んでいる。

また、新商品開発においては毎年1,2品目を開発している。商品開発部
はないので、社員全員が商品開発に参加し、品目、味、におい、パッケー
ジデザインまで自分の意見を出すことができる。社員全員で試飲をするな
ど納得いくまで開発することで「自分が開発した商品」と社員一人ひとり
が意識することができ商品への愛着もわくため、より同社の商品を好きに
なっていくのだ。

このように、『社員とその家族を幸せにする』ということを実現するため
には、「職場環境づくり」や「品質向上」、「会社全体の和力」などまだ
まだ多くの課題が残されている。井尾社長は『自らが考え行動することで
周りの人を幸せにすると、自己の幸福にもつながっていく。』と語ってお
り、人に幸せを与える課題解決をしていくことで東海牛乳株式会社はさら
なる飛躍を遂げていくだろう。

東海牛乳は牛乳、乳飲料、果汁飲料、清涼飲料の製造販売を行っている会
社である。98%がスーパ向けの商品であり、東海三県を中心に販売してい
る。大手メーカーも取り入れている賞味期限を二週間に保つ設備を導入し
ている。HACCP(製造における重要な工程を連続的に管理することによっ
て、一つひとつの製品の安全性を保証しようとする衛生管理の手法)の認
証に向けて環境整備に取り組んでいる。

東海牛乳の一番の魅力は、社員一丸になっていることである。毎年一品ず
つ新しい商品を出しているが、全社員の意見を聞いて商品開発を行ってい
る。商品以外でも社員がアイディアをどんどん出せるように部門ごとにミ
ーティングを行っており、出たアイディアは社員全員で評価する。仕事以
外でも1年目の新入社員は2年目、3年目の先輩社員が毎週1回カウンセ
リングを行っている。社長は社員同士が繋がる最も重要な手段として会話
をあげており、自分自身も仕事の内容からプライベートな話まで毎日社員
と会話をしている。社長に「仕事とは何か」と尋ねたところ、「社員の幸
せ」と答えた。社員がニコニコして幸せだと自分も幸せになると言い、少
しでも働きやすくなるように機械を増やしたり、韓国へ出張する際は社員
を連れて行ったりしている。他にも、東親会という年五回の食事会をパー
トさん含め全社員で行っている。

最後に今後の目標を聞いたところ、「中部地方で売り上げ1位になること」
とおっしゃった。社員と社長の深い信頼関係が築かれ、社長がこんなにも
社員のことを考えている企業は他にはないと思った。社長はミックスジュ
ースが一番好きな商品だと言っていたが、東海牛乳こそ、いろんな果実が
混ざって一つの味になるミックスジュースのように人と人とが上手くコミ
ュニケーションをとり、一つにまとまった魅力的な企業であると思った。


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