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報連相を徹底するように教育する会社は多い。しかし、社員が自ら考え仕
事を進めていく集団であれば、あえてホウレンソウを徹底する必要は無い
よ。こう言い切る山内社長。「ミス一つ 苦労十倍 損は百倍」この言葉
の意味を理解し何をすべきか「常に考える」。そんな社員で満たされてい
る未来精工を、名古屋市立大学3年原田さん、愛知淑徳大学1年芝田くん
大竹さん、岐阜大学3年渡邉さんが取材しました。

未来精工は未来工業の技術部が独立した会社で、山内社長が指揮を執る、
コルゲートパイプなどのプラスチック製管材の製造設備の販売、金型や省
力化機械の製造・販売、金属加工用機械の製造・販売、自動販売機の製造
・販売を行っている会社だ。省力化機械の提供については、「お客様の仕
事が楽になって、お客様から感謝の言葉をいただく時が一番嬉しい。」と
山内社長は語る。

山内社長がめざす会社像は、“自走集団”だそうだ。社員一人ひとりが自
らの頭で考え、行動し、成長する。そんな主体性あふれる組織こそ強いの
だ。そのため、社長は「次何したらいいですか」という質問が一番嫌いな
のだそうだ。この点は未来工業の「常に考える」という企業理念をしっか
り受け継いでいると感じた。

また、もう一つの大きな特徴として、“信頼関係の構築”にとても重点を
置いていることが挙げられると思う。社長のいう信頼関係とは、社員との
信頼関係と、お客さまとの信頼関係である。社長は社内をぐるぐる周り、
毎日2回は社員全員にあいさつ、声かけをされるそうだ。また、社員さん
との関係は家族のようで、なんでも言い合える間柄を大事にしたいと仰っ
ていた。「みんなの会社だから」と、毎月決算報告書を公開している。こ
れはお客さまにとっても透明感のある、信頼できる会社として印象付く。
お客さまの期待に応えたい、助けになりたいという社長の素直な気持ちは
社員にも十分浸透しているように感じた。

先述の通り、社長はお客さまから感謝の言葉を頂く時が一番の喜びである
ため、並々ならぬ知識と営業力でお客さまのニーズ、困りごとを聞き取り、
解決できるような機械を提案し提供している。ちなみに、営業の極意は
「聴く力」だそうだ。

未来精工の魅力は、社員一人ひとりが主体性に満ちて輝いていること。社
長とフラットな関係でものがいえる環境であること。お客さまと社員の信
頼関係を大事にする、山内社長の姿勢。この3点だと私は感じた。

はじめに、この会社の魅力として社員を大切にしているところが挙げられ
る。社風として、「話しかけやすい職場」というものを目指しており、社
長が朝、夕の二回、53名の従業員に対して声をかけに行く。この行動をし
ている意図を社長に尋ねてみたところ、「うちの会社は一つの機械に集ま
って作業をする時がある。この時だけではないがチームワークがとても大
切。従業員が思い悩んだ時に、その従業員が気軽に話しかけられる人がい
ないと苦労する。」ということであった。また、この会社はお互いのこと
を必ず「さん付け」して呼んでいる。お互いの距離感を縮めるためだ。も
ちろん従業員が社長を呼ぶ時も「社長」とは呼ばずに、「山内さん」と呼
んでいる。社長と社員の方との会話は、まるで友達であるかのように楽し
そうであった。

次に雇用についてもかなり魅力的であった。正社員のみではない。従業員
を採用する際は、一週間働いてもらい、採用不採用は社長ではなく社員が
判断するのだという。社員が「この人となら一緒に働ける」という人しか
採用しない。コミュニケーション力を見ているのである。また、この試用
期間を終えた後に、「ここで本当に働きたい」と思っている人しか採用し
ない。相思相愛となった場合のみ採用するようにしている。このような採
用の形をとっているため、この会社の離職した人の数は、年齢や病気で離
職した方を除いて、ここ十年間で0人である。この数字はとても驚異的な
数字だ。いかにこの職場が働きやすいかを表している。また離職者がほぼ
いないため、ここ5年ほどほど従業員の採用はしていない。このことは今
いる社員を大事にするという社長の意思の表れでもある。

第三に魅力を感じた点は、この会社のルール。「一般的に推奨されている
ホウレンソウをほとんど行わないこと」である。なぜか。それは、「社員
が勝手に考えて勝手にやるのが理想。社長は将来に関する儲けだけ考えて
いればよい。」というのが社長の考えだからである。「社員が自分で考え、
どんどん自分で成長していき、主体性を持ってベストを尽くしてくれれば
何も文句がない。」とも考えている。ミスをする前にリスクシュミレーシ
ョンを行い、最善を尽くせというメッセージの込められた、「ミス一つ 
苦労十倍 損は百倍」という紙が社内のあちこちに貼り出されている。社
員が最善を尽くしていれば責任は上の者が取る。その分だけ社員が成長し
てくれれば良いということであった。

最後に製品について。国内で唯一コルゲートパイプを生産するメーカーで、
今まで培ってきたノウハウで、海外メーカーより遥かに高い信頼を取引先
から得ている。このことは、これから先も揺らぐことはないであろう。

未来精工は、主に技術を担う未来工業のグループ会社である。未来工業が
金型屋を買収した際、外部と仕事をすることでスキルアップを図ることを
目的に子会社化された。今年で創業20周年を迎える。コルゲートパイプと
呼ばれる配線の保護管の製造設備をメインとし、顧客から愛され続けてい
る会社である。長年培ってきたノウハウを生かし、独自の技術によって他
企業と差別化している。コルゲートパイプは、私たちが普段目にすること
のない、自動車の機械部分や住宅の基礎となり、私たちの生活を支えてい
る。自動車については軽量化の実現に携わった。

また、顧客要望のプラスチック製造用金型や省力化機械を製造するメーカ
ーでもある。「お客さまの理想通りのものを実現化でき、また、お客さま
の『よかった』という声を聞けたとき、一番感動する。」と山内社長は言
う。まさに技術者としての真の喜びである。受注物件は、顧客によってさ
まざまである。よって毎日が開発の日々なのだ。

未来精工の魅力は山内社長の社員に対する思いにある。現在、社員数は54
人。その中で社長は社員の教育を徹底しており、コミュニケーションを最
も重要だと考えている。社長は朝・夕方の一日二回、工場内を見回り、社
員一人ひとりと顔を合わせ、話をするそうだ。その会話の内容は、ビジネ
ストークではなく「元気か?」などの気軽な声掛けから始まる。私は取材
をする前、社長という立場の人間は、社長室におり、一部の社員との関わ
りしか持たないというイメージを抱いていた。しかし、未来精工には社長
室はなく、社長は営業部の部屋で仕事をしている。その際、山内社長と社
員との関わりを間近に見て、お互いの心の距離が近いと感じた。それは、
お互いの「壁」をなくし、信頼関係の基礎となる部分を社長が構築してい
こうとする働きによるのであろう。

また、未来精工では、外部機関を活用して社員教育の仕組みを導入してい
る。一体なぜそこまでして社員教育を徹底しているのか。その答えは社員
がどのようにして仕事と向き合っていくか、ということにあった。例えば、
顧客希望の金型を完成させる工程で、単なるライン作業ではなく、金型と
いう一つの作品を何人かの技術者がさまざまな作業で完成させる。その際、
トラブルが起きたら技術者たちはどうするか。工場のいたるところに「常
に考える」という張り紙があった。山内社長は、社員の成長を見届けるた
めに、あらゆる失敗に口出しをしない。個人としてのベストを尽くす努力
を認め、悩んだ社員には声掛けをし、フォローを行っている。主体性をも
ち、一つの工程を任されたという責任感のもとに「常に考え」、判断する
ように言い聞かせている。いわば社員が主となって動く会社である。それ
では社員にとってプレッシャーになるのではないかと思ったが、責任があ
るぶん、社員の成功した時の喜びや達成感は計り知れないものがあるのだ
と気付いた。コミュニケーションが最も重要であると考えた社長の思いが、
まさに社風として会社に根付いている。山内の社長の社員に対する信頼は、
社員自身を、そして会社を強くするのであろう。

未来精工株式会社では、自動機や省力機器、金型、自動販売機の設計から
販売までを一貫して行っている。また、国内で唯一、コルゲートパイプの
生産を行い、高いノウハウを有する会社である。社是は「常に考える」
「自由闊達で活力ある企業風土を創造する」であり、いつも斬新な創造を
目指している。

訪問前の時点で、社員同士を肩書きでは呼ばない、社長室がない、服装が
自由、チャレンジ精神が評価されるといった情報を得ていたので、私は未
来精工株式会社に対して、社長と社員の距離が近い、そして個人の自主性
や自己管理能力が求められるといったイメージを持って取材に臨んだ。

実際、未来精工株式会社の山内社長は、明るさや仕事に対する熱意に溢れ
た方であった。提案から相談、設計そして納品まで、全てに関わる仕事の
楽しさを語られる時の目は輝いており、仕事に対する愛を感じた。技術職
から営業職を経て社長になられたという、さまざまな経験があるからこそ、
山内社長の言葉には重みや深みがあるのだと思う。

未来精工株式会社では、自分で考える力が必要である。面白いと思ったら、
まずは取り組んでみて、ダメであればすぐにやめるというやり方で、今ま
で新しいものを創造してきた。また、流れ作業のように機械が流れてきて
から作るのではなく、人が自ら機械に集まり考えるというやり方で、新し
いものを創造してきた。
まずは取り組んでみるため、会社は多少のリスクを背負うことになるが、
社員には挑戦できる環境が与えられている。また、勤務時間に融通がきき、
服装などは自由であるぶん、自己管理能力が必要とされ、自分で考えて挑
戦することには、もちろん責任が必要とされる。責任というのは、会社に
おける信頼関係によって、さらに強くなるものであるため、山内社長は社
内におけるコミュニケーションを大切にしている。毎日2回社内を周り、
社員一人ひとりに話しかけたり、デスクの配置を工夫したり、社員同士が
コミュニケーションをとりやすいような職場作りも行っている。

山内社長は「社員が自ら考えて、自主的に動いてくれるのが理想、社長は
将来の儲けに関する仕事を考えればよい。」とおっしゃった。社員の自主
性や成長を第一に考えるため、単に結果のみで判断することもなく、社員
自身が乗り越えるという経験が大切だとしている。
成長し続けられる場所、それが未来精工株式会社である。


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