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「木」の温もりと共に、家族の温もりも大切にする 株式会社東洋。
愛知学院大学3年榊原さん、岐阜大学1年大西さんがたっぷり聞いてきまし
た。

飛騨市の昔懐かしい街並みの中にある株式会社東洋。住宅用木質内装建材、
つまりドアや窓の木枠を製造し、販売している会社だ。私が感じたのは、
何よりも「人を大切にしている」という点である。
まず、お客様のさまざまな要望に応えていることが挙げられる。海外から
輸入する建材は安価だが、大量生産をしているため色や形、太さなどが決
められたものしかない。また、船で運んでくるために届くまで何週間もか
かることがある。それらに応えるのが東洋である。例えば、天井の高い部
屋のドアや観音開きの大きな扉は、枠も大きいため特注となる。東洋では
一つ、二つの部品など、オーダーメイドに等しい生産にも対応している。
それに国内、それも日本のほぼ中心、岐阜に位置しているため急ぎでも対
応できるそうだ。規模が小さいからこそできる中小企業の強みだ、と社長
は語る。日本人にとって一生ものの買い物であるマイホーム。こだわりを
形にしてくれる頼もしい会社だ。
“人”という枠には、従業員はもちろん従業員の家族も含まれている。
これは厚生労働省から「子育て支援企業認定」のお墨付きがあるほどであ
る。具体的には、女性の育児休暇率が70%で、なんと男性の育児休暇の実
績もあるという。小学校入学までは時短勤務も可能で、子供の体調不良や
学校行事で有給を取ることも認めているそうだ。その背景には「家族は一
緒に暮らしてほしい」という社長の思いがある。

自由に有給を取れるようにするには、お互いフォローしあえるような体制
作りをしていくことが必要だ。そのためにその人がいなければ出来ないと
いう作業をなくし、だれもが出来るようにする。工場の壁には写真つきの
マニュアルを貼る。整理整頓を徹底してチェックリストを作る。ほかにも
ムリ・ムダ・ムラをなくすよう意見を出し合い、良いものはどんどん取り
入れている。しかしすぐに取り入れたことが定着するわけではない。仕事
上、職人気質で「今までのやり方でも出来ているのだから変える必要など
ない」と言う人もいる。現状のやり方を当たり前だと疑問に思わずやり続
けている人も多い。それを「こうなったら楽ですよね」と気づいてもらえ
るよう地道な取り組みを続けている。

こんな話をしてくださった田端社長に将来のビジョンについて伺うと「日
本の木材が使われるためのシステム作りをしていきたい」というお言葉を
いただいた。現在、日本の木材は安い輸入材に押されて厳しい状況にある。
山が手入れされなければ海の土壌まで良くないものになってしまう。未来
の日本まで見据えた答えだと感じた。また、「幸せな人を増やしたい。わ
くわく出来るような楽しい仕事を作りたい。」ともおっしゃっていた。
木枠だけに、わくわく!か。発言にそんな意図はなかったのだろうが、文
章を書いていて、気づいてしまった。思わずにやりとしてしまった榊原で
ある。

株式会社東洋は住宅用木質装建材製造・販売を行っている会社である。他
にも観光部門でからくり実演、土産品販売も行っている。事業を行ってい
る中で、子育て支援に力を入れており、岐阜県内で8社だけ選ばれる岐阜県
子育て支援エクセレント企業認定をうけた。生産の仕方としてはトヨタ生
産方式を取り入れており、「いるものをいるときだけ。余計なものを作ら
ない」というムリやムダを省く方法をとっている。

株式会社東洋の一番の魅力は、人を大切にしていることである。人といっ
てもお客さんや社員さんなど関わる人のすべてを大切にしている。社長は
「人間的に豊かになる手段の一つに会社がある」と話されており、アット
ホームな会社づくりを目指している。

社員に対しては「心がしっかりしていないと体は動かない」と社長は考え
ている。そのため、仕事が基本的にはチームワーク重視で、特定の誰かし
かできない仕事はない。お互いに支えあって仕事をしているのだ。また、
現場をよりよい環境にしてもらうためのアイディアを改善シートとして提
出する取り組みを行っている。個人での提出ももちろん、チームでも提出
をしてもらっており、どのチームのアイディアを採用するか競わせてチー
ムごとの連帯感を高める工夫もしている。
また、社長の「家庭が一番」という考えから、会社から子ども手当を出し
ていたり、子どもの学校の参観日や運動会の日は休暇をとってもよい。こ
ういった様々な工夫のおかげで社員さんたちの仲はとてもよく、休日には
ソフトボール大会を開いたりするほど人間関係が濃密である。

お客さんに対しては、要望はなるべく叶え、早く作る努力をしている。そ
の日に使うものだけを出し、間違いが起きないようにダブルチェック、そ
してチェックした人の名前も控えておくことで管理を徹底している。

最後に、社長は「経営者であっても一人の人間だから失敗もする。失敗も
していくけど今やっている仕事を続けていくことで、自分が60歳以上にな
っても安心できるような会社づくりをしていきたい。」と語った。より会
社の中の循環を良くし、ワクワクするような会社であり続け、これからも
幸せな人をどんどん増やしていきたいという社長の思いが工場の中にあふ
れていた。

このように株式会社東洋は人間味あふれる、温かい会社である。


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