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1896年創業。過去から学び、変化を受け入れ未来へつなぐ。
そんな経営を貫く福田刃物工業株式会社の福田社長と
総務の武藤さん(写真)へ、愛知大学林さん、岐阜大学平井さんが
取材に伺いました。

福田刃物工業の一番の魅力は、社員を大切にするという点である。これに
ついていくつかの面から述べる。一つ目は福田社長と社員間の「ホウレン
ソウ(報告・連絡・相談)」を徹底していないということである。インタ
ーンシップを経験した中で、ホウレンソウは最も大切であると認識してい
た私にとって、これはとても意外だった。よくよく話を伺ってみると、こ
れには社長の「社員の自主性を尊重したい」という思いから行っているこ
とであることが分かった。ホウレンソウを通して自分の意見を言うことで、
社員をコントロールしてしまうのではないかという懸念があるそうだ。
「社長がいなくても、上手く機能する会社にしたい」と社長は語る。

二つ目に、社長と社員の役割における考え方が挙げられる。社長はこのこ
とについて、「戦略を考えるのが社長の仕事であり、戦術を考えるのが社
員の仕事である。」と語る。ここでいう「戦略」とは、企業の方針のこと
を指し、企業の目指すゴールを決めるのが社長の役割である。それに対し
て、「戦術」とはゴールに向けて、お客様への対応の仕方など、仕事を行
う上でのスキルである。このように役割を分けることにより、顧客と直接
対面する社員が最も顧客のニーズに気づくことができ、本当の意味で会社
のことを理解しているのは社員ではないだろうかと社長は語る。
 
三つ目は社員の自主性を活かすということである。活かすとは、会社の方
針や戦略の最終決定権が社長にあったとしても、その過程は社員が考える。
そして、社長は社員の考えを決して否定しない。その考えが正しいか正し
くないかではなく、いかにして経営に活かすかということを考えたり、ア
ドバイスしたりするそうだ。私は、同社の最大の魅力はここにあると考え
る。この企業では、一つ目の魅力で述べた社長と社員間のホウレンソウが
ないという代わりに、社員間のミーティングを密に行っている。社員みん
なでバーベキューを行うなど、職場の雰囲気はとても良いそうだ。その仲
の良さは社長に声をかけ忘れるほどだとか。福田社長は笑いながら語る。

最後に社長の今後の目標は、一番に「会社を潰さない」ということだそう
だ。社員や、社員の家族の人生を背負うこの会社をこれからも守り続けた
いとのこと。そのためには、大きなリスクを抱えないといったことから社
長の経営者としての慎重さも感じ取ることができる。また、「自分たちが
好きなように考えたものを、作って売りたい」という目標もあるそうだ。
まだまだ中小企業の下請けというイメージを消すことはできないが、中小
企業でしかできない技術に世界は注目すべきだと思った。

福田刃物工業株式会社は明治29年創業、工業用機械刃物の自社製造・販売
を行う会社である。ノルマなし、100%正社員、年間休日120日以上にもか
かわらず、100年以上続いている理由を探ってみると、この会社の魅力で
ある“他との違い”が見えてくる。
インタビューをした社長の口から出てきたのは「ホウレンソウ(報告・連
絡・相談)は、ムダ。ゴールは“稼ぐこと”」。この言葉に正直、最初は
とても驚いた。しかしこの後、裏に隠された福田社長の想いを知ることに
なる。

冒頭に出てきた“ホウレンソウはムダ”は、社長が一人でひとつの案を考
えるよりも、社員一人ひとりが一つずつ考えた方が、より多くのアイデア
が生まれるという社長の考えによるものだ。言われたことをやるだけでは、
社員はコントロールされていると思う。しかし、任せられていると思えば、
自分たちで考えて動き始める。その具体的な取り組みとして、「改善業務
報告書」があげられる。改善の“提案”ではなく、実際に改善したことを
報告するのだ。
会社にとって生産性の向上につながり、社員には賞金が与えられるそうだ。
社員の意見から生まれ、社員自身の仕事に対するモチベーションをあげて
いる。この制度から生まれた「ジョブローテーション」は、一人しかでき
ないから休めないというサイクルから、他の人に代わってもらえるように
なった。おかげで、毎日数人、有給休暇を取得しているそうだ。また、ゆ
とりができ、生産性も向上している。

また「ゴールは“稼ぐこと”」は、言いかえれば、他との「違い」である
“付加価値”をつけなければならない。「お客さんのためのお金なら、惜
しまない」という社長の言葉通り、営業が1社1社の工場を訪問し、丁寧
にヒアリングをする。何日もかけ遠方へ営業をしても1件も受注できない
こともある。
しかし、そのヒアリングが製品に生かされることこそが、他との“違い”
である付加価値を生む。そして、その先にあるのは、社員に少しでも豊か
になってもらえるようにという社長の想いだ。また今後の目標としては、
受注生産のみから、社員の発想によるオリジナル商品を世に出していくこ
とだという。現在、開発チームが結成され、プロジェクトは進行中だ。

福田社長のインタビュー後、工場を案内していただいた。同じものはほと
んど生産していない。商品ごとに異なる設計図が何枚もあった。各工程場
所にいくと、現場の社員さんが今取りかかっている自分の仕事の手を休め
て、説明してくれた。彼らの話す姿や声から、仕事に誇りを持っているこ
とがうかがえた。
インタビューを通して感じたことは、社員同士が助け合い、支えあい、一
人ひとりが生き生きと働いているということだ。福田刃物工業株式会社は、
社員想いの福田社長と仲間として迎えてくれる社員の方々で、他との違い
を追い続ける会社である。


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