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伝統からモダンへ。縮小しつつある紙市場のなかで、
乙女心をくすぐる新たな和紙の魅力を発信し続ける古川紙工株式会社。
古川社長が大事にする想いを、名古屋外国語大学3年浦田さん、名古屋市立
大学2年高山君がたっぷり取材してきました。

全社員数37名という小さな会社。とてもアットホームな雰囲気を感じた。
社員と毎日過ごす中で社長が力を入れていること。それは、仲間を大切に
すること。社長は、頻繁に社内で打ち合わせをする時間を設けている。作
業や仕事の手を止めてまで打ち合わせをするのには、社長の会社の雰囲気
づくりに対する強い思いがある。打ち合わせをすることで、お互いの仕事
の共有ができ、話し合うことで仲間の悩みが見えることもあるという。し
かし、この打ち合わせをするということが、どの会社にとっても良いとい
うわけではない。社長は、自社の社員をしっかり観察し、コミュニケーシ
ョンをとるにはどの方法が良いかを考えたところ打ち合わせという結果に
なっただけだと言っていた。社長が社員を想う気持ちの強さには感心した。
「会社を大きくしたり、有名にすることだけが大切ではない。社員と一緒
に発展していくことが大切だ」。社内の雰囲気づくりをしていくことで、
良い製品が生まれることに繋がっていくのだ。
社長はブログ更新をマメに行っている。忙しいのにも関わらず更新する理
由は2つ。1つは社員の先頭に立つため。常に社長が手本となる姿勢で臨
むことで社員もついてくる。2つめは会社をよりオープンにするため。会
社を発展させるためには、自ら情報発信していくことで知ってもらう必要
があるという。
古川紙工は和紙という伝統産業の会社だ。和紙の需要は近年減ってきてい
るのは明らか。しかし、需要が減っているからこそ価値があるという。最
近グローバル思考で人々の目は国内ではなく海外に目が向きがち。しかし、
日本人である私達は日本のことを知っているのだろうか。海外で日本のこ
とを聞かれ、答えられないという経験をした日本人は多いのではないかと
思う。グローバル思考の今だからこそ、日本の魅力を世界に発信するため
に、日本の伝統産業は価値があるのだ。多くの人に日本の伝統産業である
和紙を知ってほしいと思った。
社長が求める人材。明るくて元気で素直。そして、ここの会社で働くこと
を縁だと思って大切にできる人。
とにかく人が大切という、社長の想いが、会社の想いになっている、温か
い会社だ。


 
約1300年の歴史を誇る美濃和紙。その伝統を引き継いで約180年の古川紙
工。その歴史ある企業に訪問したところ、意外にも気さくで明るい社長が
出迎えてくれた。こうやって、会社が続いているのには、理由がある。質
素倹約、会社の見栄えにはこだわらない。何よりも会社・一緒に働く仲間
を大事にし続ける、町にどう貢献していくか、その古川社長の姿勢は魅力
あふれるものだった。
美濃の有名な「うだつの上がる町並み」の中で、最初は紙を売る仕事をし
ていたが、1950年以降、大手紙メーカーが台頭し、売れ行きを独り占め
し始めてから、古川紙工は加工業として下請けになっていった。ただ、そ
の中でも「自社商品として何かやりたい」と新たな市場を探して奮闘して
いた。
古川社長は約7年半サラリーマンとして働いたのち、婿養子としてこの古
川紙工に入社し、跡継ぎになることになった。跡を継ぐのを決めた理由は、
「自分でリーダーシップを取り、いい会社を作ってみたい」との想いから。
入社当時は、女性が好む雑貨として紙商品を売り出し、美濃の町にも出店
していた。ナチュラル素材で、自分が心地よいものを使いたいという層に
向けて売り出している雑貨は、若い女性にも人気がある。「今、紙の需要
が下がっているからこそ価値がある。シェアが低い所にこそビジネスチャ
ンスはある」と古川社長は語る。
「美濃和紙あかりアート展」など、県が仕掛けるイベントにも積極的に参
加している。もっと同業者を盛り上げていきたいという想いから、新たに
「みの紙まつり」を企画し、同業者で協力して一つのものを作り上げてい
く風土づくりに取り組んでいる。今の日本では、伝統工芸は追い風、今後
どんどん直営店を増やしていきたいと考えている。
インタビューの中で、一番に魅力を感じたのは、古川社長の会社に対して
の姿勢だ。
会社に社員として求める人は、とにかく明るく元気で素直で、仲間想い。
お互いがこの会社で一緒に働くのは何かの縁と思う人と働きたい。バーベ
キューイベントやボーリング大会、飲み会など2ヶ月に1回開催される社
員親睦の場や、社員同士の定例MTGの設置。社員ではなく、仲間。自分も
一緒になって会社に参加していきたい。一方で、社長自身が背中で示して
行く姿勢も大事にしている。こまめに情報配信することの大切さを社員の
方々に理解してもらうため、コツコツブログ配信を続けている。
最初は、自分で会社を経営してみたいと思って入社したが、経営の傍ら
「何のために会社があるのか」を突き詰めていくうちに、社員に感謝し、
社員のために会社を経営するようになっていた。自分の欲は削り、社員一
人ひとりのため、会社、町のために、そうでないと会社は伸びない。この
言葉は非常に重く、社長になってからの苦労が伺える言葉だった。社員の
ために徹底する姿勢は、本当に魅力的で、古川紙工が約180年続いている
のには、経営者の質素倹約な、社員のためにという姿勢があったからなの
だと感じた。
「今後は伝統工芸を通して、日本のことを発信していきたい」と語る古川
社長の目は輝いていた。


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