シックなブラックフォーマルや、見ているだけで心躍る華やかなパーティ
ドレス。「女性が一番美しく見える瞬間」を提供するために、井上社長が
大切にしているものとは?
愛知淑徳大学3年山田さん、竹下さん、岐阜大学3年塚原くんが探ってき
ました。
「愛と感動で女性を美しく」
レディースフォーマルウェアを主に製造、販売している会社であるラブリ
ークイーン。フォーマルウェアの市場では、トップクラスの業界シェアを
誇っている。フォーマルウェアの中でも、他のブランドとの違いが分かり
づらい商品がブラックフォーマルである。違いが分かりにくいからこそ、
素材へのこだわりが強く、似ているからこそ差別化をしっかり行うことで、
高いシェアを誇っている。
経営理念は「愛と感動で女性を美しく」すること。井上社長は「お客様に
関心を持つことで、何を望んでいるのか、何を期待しているのかを知り、
その期待を超える商品を提供する。お客様への関心が愛であり、期待を超
えることが感動に繋がる。商品を売るのではなく、商品を着る瞬間を売っ
ている」と話した。そして、ラブリークイーンのロゴマークである、青い
ハートと白の4本線。青いハートは成長性や安定性、神秘的な広がりを、
4本線は「社員、お客様、得意先様、仕入先様」を表している。この4本
線は社内の至る所にあり、社員全員がお客様や得意先様、仕入先様への感
謝に限らず、他の社員への感謝を忘れないように、という意識が根付いて
いる。
「社員の成長があるからこそ、会社が成長できる」
会議などでは、上下関係を除いて意見を発言することができ、その意見を
しっかりと聞いてくれる環境もある。そのため、しっかりと評価を得るこ
ともでき、社員がお互いを高めることもできる。
また、社長は就任時から、内定者のことを知るためだけではなく、ラブリ
ークイーンがどのような会社なのかご家族の理解を深めるため内定者の家
庭訪問を続けている。社長は「社員の成長があるからこそ、会社は成長す
ることができる。だから、社員に気持ちよく働いてもらえるようにするこ
とが自分の仕事だ」と話した。社員を家族のように大切に思い、良い環境
を作っていくために、社長自身が家庭訪問を行ない、活気が溢れているだ
けではなく、温かな空気にも包まれている社内をつくりあげている。
ラブリークイーンは、感謝の気持ちを持ち、女性に最高の瞬間を提供し続
けていく。
社長は新入社員のお宅へ自ら家庭訪問をする。
そのには「親に感謝し、大切にする」。そんな社長の思いがある。
「大切なご子息をお預かりするのだから、会社のことを説明しに行くのだ」
と言う。そして、社員のお誕生日は社員全員でシェアし、社長から直々に
お祝いメールが届く。
社内見学もさせて頂き、キレイさに驚いた。社内清掃を社員全員で仕事と
して取り組んでいるという。本当にキレイだった。掃除点検する委員会も
あり、その委員会が評価した結果を張り出してある。他にもいくつか社員
の方が手作りしたモノが貼ってあり、中には装飾をしたものや写真付きの
モノがあった。社内用だと紙やインクをエコだと言いながら、節約してい
る会社もある。でも、ここは違った。社員が見せる努力をしているからこ
そ、そこに経費を充てることが社員を大切にしているのだなと感じた。ま
た、今は2011年に建った新社屋で働いている。東北大地震「3.11」
から旧社屋では震度6以上の地震に耐えられないことが分かったからだそ
うだ。また、もし水道や電気などが止まっても地域の人が困らないように
と岐阜の地下水を利用した手漕ぎ井戸や太陽光発電を取り入れた。
仕事のやりがい―“フォーマル服が8割”ブラックフォーマル服は、どれ
も似たり寄ったり。差別化を測りにくいものなのに…業界3位?と思って
いた。しかし、着てみると全然違う。黒でもいろんな黒があり、使ってい
る反物、糸、その糸の織り方、組み合わせと染具合で全然違う黒になると
言う。それをお客様のイベントに合わせて提供するそうだ。特にお葬式で
は、お客様がどういった立場なのかで全体の形自体や色、美しさを際立た
せる部分が違うと言う。黒一色だからこそ、そこには深くて熱いこだわり
がある。
取材して驚いたことは、社員の成長が会社の成長と考え、実践しているこ
とだ。社長はやる気を持たせるやり方を知っている。
外部で受けられる研修だけではなく、社内でも社長賞などいくつもの社員
を褒める賞が存在する。しかもそれがお客様に見える1階に写真つき額で
飾られている。受賞するのはベテランばかりではない。入社2~3年目で
も受賞している。つまり、評価されやすい環境なのだ。
そして、社長も一緒になって研修を受けている。これが一番衝撃を受けた
ことだ。あまり社長と社員が同じ内容の研修を受けることは少ないと思う。
「愛と感動で女性を美しく」が経営理念のラブリークイーンは、レディー
ス専門のアパレル企業である。主にブラックフォーマル、カラーフォーマ
ル、婦人カジュアルの三つの部門を取り扱っており、トータルコーディネ
ートを提案できるように靴やネックレスなども取りそろえている。またラ
ブリークイーンでは購入されたお客様に無料でネイルサービスも提供して
おり、爪の先までより美しく演出できるように、細やかなサービスが行き
届いている。特に一番力を入れているのがブラックフォーマルである。黒
一色のみを使い、いかに他社と差別化を図り、より上質なものに仕上げて
いくための商品力は業界屈指である。また社章がとても印象的でハートマ
ークに入れられた四本線にはそれぞれに意味があり、社員、お客様(消費
者)、お得意様(テナント)、仕入れ先を表している。これら四本線の一
番先に社員を持ってくるのは社員さんを大切にするラブリークイーンなら
ではである。
「理念から外れたことをすると会社はなくなるという、先代の言葉を守っ
ています」と井上社長は学生の「なぜ女性の商品しか扱っていないのです
か」という質問に答えた。今後さらにラブリークイーンを大きくしていく
なら、男性のブラックフォーマルなどを売り出していけば良いのではない
かと誰もが考えるかもしれないが、「愛と感動で女性を美しく」と、女性
を美しくすることが会社の存在目的であることを誇りにしていることがと
ても伝わってきた。そのため、男性商品は作らず、より多くの女性を美し
くするために日本国内での販路を開拓するばかりでなく、中国の販路を開
拓している。どこまでも理念に沿った経営を続けていくことはラブリーク
イーンの魅力の一つである。
ラブリークイーンはとても綺麗な社屋で、一階は商品の展示室と大きな会
議室があり、二、三階は事務所で吹き抜けの構造となっている。とても解
放的な作りで社内全体のコミュニケーションを取りやすいように工夫がさ
れている。この他にも会社の雰囲気をより良くするための工夫が会社中に
見受けられた。会社から配られた携帯用手帳のカレンダーには全社員の誕
生日が掲載されていたり、サンクスカードという常日頃からささいなこと
を周りで感謝し合えるようにされている。そのため会社全体がとてもアッ
トホームな雰囲気だった。その雰囲気の中でも社員さんが成長できるよう
に毎年一年間頑張った社員さんは表彰される仕組みになっていて、その年
一番の方は社長賞という賞が与えられて、井上社長と一緒にラスベガスへ
海外研修に参加できる。多くの社員さんがより会社に貢献できるように、
社員間の競争が自然と生まれるようになっている。これらの井上社長の取
り組みや社屋の間取りなどは、社員さんの成長に向けられているもので、
とても働きがいのある会社の雰囲気が魅力的であった。
経営理念と社員さんのひとりひとりを大切にする姿勢がラブリークイーン
の魅力であると、取材を通して感じることができた。