使い捨てられていく紙ダンボールに代わり、繰り返し利用できリサイクル
もしやすいプラスチック製ダンボール「プラダン」を開発したアパックス。
プラダン開発の背景、社員が感じていること、南山大学法3年の堀米さん、
金城学院大学3年の細田さん、岐阜聖徳学園大学2年の置田くんが、町野
社長にうかがいました。
アパックスが扱っている商材はプラダンと呼ばれるプラスチックダンボー
ル。1回使ったら捨てられてしまうダンボールと違い、プラダンは何回も
繰り返し使うことができるのが特徴である。プラダン製折コンテナ「アパ
コン」シリーズは、ダンボール箱と同じように折りたたみ可能で何度も繰
り返し使え、破損部分は修理して使うことができるため、多くの企業から
支持されている。
アパックスでは作ったもので環境をよくしていこうというグリーン物流を
目指しており、3R(Reduce減らす、Reuse繰り返し使う、Recycle再資源
化)にRepair(修理する)を加えた4Rを大切にしている。回収された廃棄素
材や破損箱も全て粉状にし、リサイクルされているほどである。しかし、
大量生産大量消費型ではないアパコンの利益はどのように得ているのか気
になるところ。それはお客さまの工場へ、商品であるアパコンに荷物を詰
めて納品するところから、荷物を降ろしたアパコンを自社の工場に戻し整
備するところまで、一連の流れを担う契約を増やすことと、単発の新規顧
客を増やすことの2つを重点的に進めている。主に社員による営業、イン
ターネット販売、展示会での販売がメインであるが、中でもインターネッ
トによる販促には専任の社員を置き、特に力を入れているそうだ。
さて、2年前に社長業を引き継いだばかりの町野智彦社長。先代の社長と
は親子といえども考え方は違うため、引き継ぐ前には父親と会社の目指す
ベクトルを合わせ、その後自分なりに成長させることが難しかったと言う。
社長には今後のビジョンが多々あるが、すべての根本にあるのが『ふろし
きコンセプト。』「繰り返し使える、いらない時はたたむ、汚れたら洗っ
て、破れたら繕う」というふろしきの特徴を活かした商品を作り、広めて
いくのが理想だそうだ。そのためにも自由な社風で、社員が働きやすい環
境作りを心掛けている。社員と1対1での面談を年に2回行い、社員の要
望を積極的に取り入れたり、適材適所心掛けたりしている町野社長。「製
造、営業、試作、材料発注とさまざまな部署を経験し、1番向いているの
が現在のインターネット販促だった」という社員もいた。強みを見つけ、
最大限に力を発揮させることは社長の役目でもある。社員からは「社内を
もっと良くしていこうとしている点が社長の魅力」、「道筋をきちんと伝
えてくれるから、そのための工夫もしやすくなった」との声が上がってい
る。
そして最後に、「いざというときに社員一丸となって頑張れるのがアパッ
クスの強みである」と社員は口をそろえて言う。社長の想いは社員に伝わ
り、会社の成長は徐々に目に見える形になってきていると感じた。
「風呂敷コンセプト」。風呂敷のように、くりかえし使えてたたむことも
でき、汚れたら洗う、破れたら繕ってまた使う。そんな、日本人が編み出
したエコの知恵をお手本に、循環型社会の実現を目指している会社が、株
式会社アパックスだ。
ダンボール箱の加工から始まったアパックスは現在、プラスチックダンボ
ール、略してプラダンという素材を主に扱っている。使い切りになりがち
な紙のダンボールに比べて、プラダンは長持ちなので環境に優しい。環境
に配慮した3Rという言葉がある。3Rとは、リサイクル(再資源化)・リユ
ース(繰り返し使う)・リデュース(減らす)を指す。しかしアパックス
では、この3Rにリペア(修理)のRを加えた4Rに取り組み、壊れてしまっ
た商品は修理をして、再び使える状態へと戻すサービスを行っている。
「環境に配慮した商品です」と環境問題への意識を伝えるだけではなく、
きちんとその後のケアまで責任を持って行う。風呂敷コンセプトの「破れ
ても繕ってまた使う」という考え方そのものである。
アパックスの魅力は、商品そのものだけではない。良い商品が生まれるの
は、良い環境があるからだ。社長のほかに、3人の社員の方々にもインタ
ビューさせて頂いた。口を揃えて言うのは、「自由に動ける」という言葉。
型にはめられ、やらされている感覚はなく、「これをやろう!」という時
には団結するような、風通しの良い職場だという。さらに聞いていくと、
「認められている感覚がある」という。その秘密は、社長の姿勢に深く関
係していた。
町野社長は、社員全員と個別の面談を行っている。年に2回ほどだという
が、社員50人を相手に一人ひとり向き合うのだから、社長自身が割く時間
は相当な量になる。面談では、「家族構成やその中でのポジションを考慮
するよう心がけている」と話す町野社長。仕事面だけでなく、社員の私生
活にも意識を向け、会社全体を見据えた意見はきちんと吸い上げる。
社長の判断でネットでの販売促進の仕事を任された社員は、「営業や製造
などいろんな仕事をしてきたが、今の仕事が一番自分に合っていて楽しい」
と話す。適材適所を見抜いた社長の判断が、結果的に社員のモチベーショ
ンアップに繋がっていた。最後に、社員のみなさんに社長の人柄について
聞くと、「改善しようとする姿勢」「道筋や方針はバシッと示した上で、
自由にやらせてくれる」といった返事が返ってきた。
「会社は全部自分のものではない。社員にもきちんと分配する」という信
念を持つ町野社長。社員がいてこその会社ということを忘れず、社員の主
体性を大切にしている。環境という大きな問題に取り組む一方で、社員一
人ひとりにも真剣に向き合って仕事をする社長と、主体的に働く社員。魅
力的な商品が生まれた背景には、こんな魅力的な環境があった。
今回の取材でアパックスの強みをいくつか聞くことができた。例えば、上
下関係はあるが全員がしっかりと意見を言える。営業ではお客様のニーズ
をしっかりと聞いてくる、コンセプトを強く持つなどが挙げられた。取材
をした中で一番心に響いたのは「みんなが努力できる」ということだ。も
しかしたらこのことは、当たり前に思えるかもしれない。しかし、これを
実行できている企業は日本にいくつあるのだろうか。
では、なぜアパックスでは「みんなが努力できる」のだろうか。「みんな
が努力できる」と言うが、そもそも努力とは何か。それは、ある目的のた
めに力を尽くして励むこと。では、アパックスでの目的とは何であろうか。
それは、アパックスの経営理念にもなっている「人類の生存環境が安全で
より豊かであるために、限りある自然を破壊することなく持続可能な生産
活動を通じて、平和な社会を築く」である。では、それをするために何を
しているのだろう。アパックスでは上下関係はあるが全員がしっかりと
「意見を言える環境」を作っているのである。こうした環境が作れている
背景には、町野社長自身が「意見を言える環境」にはある程度の自由が必
要だと思っているからである。町野社長はアパックスのことを自分のもの
と思うのではなく、みんなのものと思って経営や社内改善に取り組んでい
るそうだ。それは、「社長が社員の事を本当に大切に思っている」からで
ある。町野社長は、年に2回社内面談すると仰っていた。その理由は、社
員には家族が居て、社員を大切にするためには、その社員の家族も大切に
したいからだそうだ。この話からも町野社長が「社員を大切にしている」
様子が伺える。
アパックスでは社長が社員を大切にする事で結果「社内の努力しあう雰囲
気」ができたのではないかと私は取材を通して感じることができた。「社
内の努力しあう雰囲気」がアパックスの様々ある中の1つの魅力である。