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一度に多数の穴を加工できる多軸アタッチメントを製造販売している宮川
工業。総合商社としてインドと日本の橋渡しの役割も果たしている。「多
軸の宮川」と呼ばれるまでになった経緯や、インドとの関わりが深まって
いった理由などを、愛知淑徳大学3年の佐藤さん、愛知大学2年の山下さ
んが宮川社長からうかがいました。

今回取材させていただいた、開発機械メーカーの宮川工業株式会社は、金
属加工機械・機器・ツールの開発及び製造販売を手掛ける会社である。
「多軸の宮川」というように、多軸アタッチメントは宮川工業が発祥で、
1958年に日本を含む世界8か国で特許も獲得している。現在、宮川工業で
一番主力の商品である。

もともと宮川工業は刀鍛冶の町、岐阜県関市で「宮川刀剣製作所」として
1935年に創立した。しかし終戦に伴い刀剣は没収されたため、残った軍刀
を切って包丁をつくり、再スタートをきった。とにかく身内が食べていけ
るように、と始めた事業であった。包丁を作る際に「効率」を考え、2か
所の穴が同時にあけられる加工機(2軸アタッチメント)を自社用に作っ
たのが多軸の始まりだった。なぜそれ程に生産が速いのかと聞かれ、多軸
アタッチメントを紹介すると周囲からその機械が欲しいという声が上がっ
たことから多軸アタッチメントの販売を始めた。しかし、商品を作ろうと
思っても今まで生産していたものと分野が違うため技術はなく、それでも
チャンスが眠っているなら…と、それぞれの分野の専門家を聞きまわって、
つくり上げた。チャンスを見逃さず果敢に一歩を踏み出す姿勢に好感を持
った。

宮川社長は「人脈」をとても大切にしている方だという印象が強かった。
一人ひとりのつながりを大事にしているからこそ、個人的なネットワーク
がとても広い。インドとのローカルなネットワークも強い宮川社長に、ど
のようにネットワークを広げているのかを質問したところ「どんな相手で
も敬意をもって下から下から接することだ。」と教えていただいた。イン
ドのような発展途上国に日本が事業を拡大しに行くとき、日本人は「雇う
側」の上から目線が多いそうだ。また、つたない日本語を話す外国人に対
して、わかりやすく子ども言葉で話す、といった良かれと思ってやってい
る行為も、相手にとっては小馬鹿にされていると、とられてしまうことも
ある。そのようななか、宮川社長はどんな相手にでも敬意をもち、へりく
だって接し、交渉も社長が足を運んで直接名刺を渡すそうだ。実際に取材
に行った時も、挨拶やお辞儀などから、学生の私たちに対しても、敬意を
もって接していただいていると感じた場面がたくさんあった。このように
してネットワークを広げていき、「良い人」と関係を築き上げる。また、
「良い人」は「良い人」を紹介してくれるという考えは大変共感した。
「良い人」から自然と広がっていくネットワークで今の状況ができている
のだそうだ。いい関係を築き保てるように一人を大切にしようという考え
も、人脈が広がれば広がるだけ、できそうで、できなくなっていくことだ
と思うのだが、それができている宮川工業を見て改めて尊敬の念を抱いた。
人脈を大事にする自分にとって今回の取材はとても興味深いものがあって、
自分を見つめなおすいい機会となった。

岐阜県関市にある宮川工業は、包丁を作る過程で必要な穴あけ加工用の多
軸アタッチメントで有名である。多軸アタッチメントが開発される前まで
は、包丁の柄を固定するためにあける穴は2つ以上あるのに、1回につき
1つしかあけることができなかったという。「同時に穴があけたらいい」
という考えはあったものの、実際にあける人はいなかったそうだ。より効
率性を求めて、多軸アタッチメントは作られるようになった。

現在宮川工業は、インドでメーカーとして活躍する一方で日本と世界を繋
ぐ商社としても活躍している。メーカーが「労働力」を求めて人件費の安
い東南アジアを中心に進出しているのに、なぜインドなのかというとイン
ドには日本以外の外国も多く進出しており、すでに会社として成熟してい
るところが多い。したがって「下地」があるから、それに日本の「品質の
良さ・サービス」などをより組み合わせていくことができる。インドから
世界へと発信していくことができるのだ。宮川社長が日本のサービス・技
術・品質・ノウハウを誇りに思い、かつインドのローカルの会社の良さを
知っているからこそ、親身になり仲立ち人としてビジネスサポートを行っ
ているのだと感じた。また、インドはこれからどんどん若者が増える。そ
の若者たちの目の輝きも進出する要因だそうだ。宮川社長は「一生懸命や
る人には一生懸命教えたい」とおっしゃっていた。外国人だから、自分よ
り若いから、などは関係なしに宮川社長が「相手を尊敬する気持ちを大切
にしている」から人とより向き合うことができるのだと思った。

相手を尊敬する気持ちを大切にすることは、宮川社長の人付き合いにも表
れている。「一人を大切にすることができれば、その人の大切な人を紹介
してもらえる」つまり、人と人との信頼関係は伝わると宮川社長はおっし
ゃっていた。取材中、私たちに「一期一会」の意味を教えてくださった。
それは一瞬の出会いを意味するのだそうだ。今、この一瞬しか私はあなた
と出会うことができない、だから「今、この一瞬を全力で大切にして出し
惜しみをしたくない」と宮川社長は教えてくださった。

そんな風に人を大切にする姿勢は仕事にも表れている。宮川社長は「自分
にしかできないことをやりたい」と思っているから、自分以外ができるよ
うになった仕事はその人に任せ「卒業する」という意識を持っている。そ
の意識が適材適所の仕事を求めさせ、その人を活かそうかそうとできるの
だろう。「自分にはできない仕事がある」しかし、「自分にしかできない
仕事がある」そう思って私は働きたいと思った。


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