人間として大きく成長するための土台づくりがなされる幼児期に、本当に
必要なものは何だろうか。幼稚園でよく行われている運動会やお遊戯会は
いったい誰のためのものだろうか?清流みずほ幼稚園では触れるもの、食
べるもの、聞くもの、遊ぶもの、すべてが本当の意味で子どものためにあ
る。大人が通いたくなる、魅力的な清流みずほ幼稚園の加納理事長に岐阜
大学3年の長瀬さんが、たくさんの学びをいただいてきました。
清流みずほ幼稚園に一歩足を踏み入れると、壁やカーテンなど部屋全体が
淡いピンク色で統一され、柱や床は県内産の間伐材が使われ、ぬくもりの
ある落ち着く空間がそこに広がっている。淡いピンク色は体内の色と似て
いるため子どもが安心して過ごすことができる。子どもたちの情緒的発達
・知的発達において何よりも重要なのは安心して感受性豊かに育つ環境で
あり、第一要件として「静けさ」が挙げられる。その「静けさ」のある環
境がそこにある。
また、この幼稚園で使われているものはこだわりのあるものばかりだ。お
ひるごはんの食器は作家による手作りの陶器や漆のお椀である。毎日使う
ものだからこそ陶土や木から作られた本物の温かさを知ってほしいという
願いが込められている。また先生など大人がこうしたものを大切に扱う姿
を見ることで、模倣する存在であるといわれる子どもたちはその姿を真似
し、物を大切にすることを自然と学ぶ。また、遊具、楽器、教材は木材や
綿・シルクなど自然素材のものばかりである。形の決まったものは子ども
に大人の概念を押しつけることになりがちである。木のおもちゃ、どんぐ
り、布など自然素材の遊具を使用することでのびやかな感性が育まれる。
こうした本物を与えることで目には見えない本質を学びとる、深く豊かな
人間になることへの願いが込められている。
この幼稚園にうかがったとき、子どもたち一人ひとりのワクワクいきいき
とした表情が、特に印象的だった。理事長の加納大裕さんは自らの仕事に
ついて「天職」だと語られた。「苦労は多いが苦痛はない。向こうには子
どもがいて、子どもの成長を感じられる。幸せは苦しみと喜びの境界線に
ある。」と。「子どもたちのために」をとことん考えられているこの幼稚
園だからこそ、子どもたちのあの表情があるのだと感じた。