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「空気をカタチにする会社」株式会社ハイビックス。職場そのものも温か
な家庭で過ごしているような空気に包まれている。
社員にとって「お母さん」のような存在でもある高井社長に、名古屋外国
語大学3 年気賀沢さん、金城学院大学3年安藤さん、南山大学3 年宮田く
んがお話を伺ってきました。

「日本のものづくりをなくしてはいけない」という強い心を持つ女性社長。
空気で膨らむ製品のなかで、特に介護用品(床ずれ防止マットなど)の製
造に力をいれている。また、身近なところではETC のバーやエアピローも
そうである。
多くの会社がコスト削減のためアジア地域進出や機械化を進める中、機械
化からノウハウは生まれないと考え、コストより品質向上を大事にしてい
る。開発から生産まで一貫しており、お客様に合わせてフィルムの材料、
調合から考えている。その質を上げるためには作り手の技術が必要になる。
一番良い方法は今あるものを完璧に使いこなすことであるという。今ある
機械を使いこなし、社員自身が作業の効率化、標準化を考えていく必要が
ある。その中では、機械がすべてではなく、人の目が必要な作業もある。
そのための人材育成にも力をいれている。
この過程を支える「社員をとても大切にする環境」がこの会社には整って
いる。女性がとても多いということもあり、産休や育児休暇後の復帰、短
時間正社員などがある。自分たちが幸せになるために、幸せな家族をつく
るために仕事をする。その結果、幸せな会社になる。親の介護がある場合
も補助をしてくれるなど一人ひとりに合った働き方を考えてくれる社長で
ある。社員の中には、孫と祖父のように50 歳も離れた方が一緒に働いて
いたり、子供を連れてきたりする方もいて、「大家族主義」を掲げている
のも特徴である。社長は、喜怒哀楽を一緒に感じられる社員を誇りに思い、
とても大切に考えている。

今後は今のお客様を大事にしつつ、自社ブランドの立ち上げにも取り組ん
でいくという。海外に対して日本トップのものの価値をわかってもらいた
い。他国に日本のものづくりを誇れるように海外進出はするが、日本のも
のづくりは絶対なくさないという心である。人から技術が生まれるために
よい環境を作り、その中で人材育成をし、ものづくりが続いていく。この
ような循環が発展しながらこれからも続いていくだろう。

コストより質を重視し、一社一社に合わせて材料から設計をする。高い技
術を有する日本のものづくりを行うハイビックス。社長の高井さんは「日
本からものづくりをなくしてはいけない」と語る。
ものづくりを支えているのは機械ではなく人である。そう考える社長の社
員への愛情は大きい。「一番誇れるものはなんですか?」という問いに対
して「苦しい時も一緒に頑張ってくれる社員です」と社長はすぐに答えた。
社員をとても大切にしている社長は家庭優先での働き方にとても協力的で
ある。そのため、ハイビックスには女性社員や長く努める社員が多い。産
休や育児休業はもちろん、その後の復帰も温かく迎えてくれ、子供がいる
家庭では出勤時間も相談に乗ってもらえる。50 歳も歳の離れた社員がい
る程で、社員全員が家族のような環境で働いている。それだけではなく、
社長は社員を育てることにも力を入れている。人から技術が生まれると考
えている社長は、機械に頼ってばかりではなく、どうすればより良い商品
を提供していけるのかを社員に考えてもらうことも大切にしている。新し
い機械を導入することからは、ノウハウは生まれない。今ある機械を使い
こなし、どう改善していくのが良いかを考える機械開発までをすることに
より考える力がつくとともに、より良い商品を作っていくことができるそ
うだ。

そんなハイビックスの商品は、羽島や名古屋のETC バーやJTB の飛行機
のエアーピローなど身近なところにもあり、私達の生活を支えてくれてい
る。現在では自社ブランドの立ち上げに取り組み、海外販路進出にも意欲
的だ。介護が成熟している国でさえ介護用品の質があまり充実していない。
そのことに疑問を持ち、ハイビックスの商品の良さを分かってもらえるの
ではないかと、進出を決意した。これは自社の製品に自信を持っているか
らこそできることだと思う。「会社や社員を守る責任があるので、今まで
しっかりと準備をし、さらなる発展へ向けての力をつけていき、永続的発
展をしていけるように努めていく」と社長は力強く語った。また、東北の
震災後には、社員とともにボランティアへ行っている。自社製品のプール
などを寄付し、現地の人と交流を図った。「できることからやろう。まず
は行くことが大切だと思った」という。

迷いもあったが、テレビ画面で見ているだけではなく、実際に自分の目で
見ることに意味があると社長は考えたそうだ。
社長は常に何かを吸収し、人としても、会社としても成長していけるよう
に努めている。ハイビックスはそんな魅力的な社長のもと皆が真剣に仕事
に取り組む、ひとつの家族のような温かい雰囲気の会社だ。

1.空気をカタチに
ハイビックスは、1951 年創業以来60 年岐阜県でビニール製品の加工販売
をしてきた製造会社である。空気で膨らむものをつくっている。元々は玩具
などに力を入れてきたが、2001 年頃から3 代目高井社長のときメディカル
用品を中心にレジャー・スポーツ用品や産業資本用品の各分野においてビニ
ール製品の多用なニーズを生み出し始めた。ハイビックスは従来OEM 生産を
しており、提携先の企業とは何十回も話し合い、機能・耐久性・品質にとこ
とんこだわっている。商品点数は1000 点以上である。100% 自社生産とは
いかないが、大きいものをいずれはと、現在は自社ブランドの立ち上げにも
取り組んでいる。

2.日本のものづくりが生む、ビニール製品と人育て
中国や台湾の製造会社は安い材料と人件費で低コストのビニール製品を生産
する。高井社長はコストよりも品質に徹してビニール製品を生産し、作り手
の技術を育て日本のものづくりを守ろうとしている。特に忙しい時期は受注
に対して生産が追いつかないこともあるが、いかに少ない機械で少ないコス
トにできるかを試行錯誤する。今ある技術と既存の機械で生産体制を短縮化
し確立する。
あくまでも人の作業が中心である。それが社員の人材育成にも繋がるという。
また、社員に対しては仕事のために家族を犠牲にすることがないよう、産休
や育児休暇や介護休暇など積極的に取り入れている。女性が働けるようにも
配慮されている。それらが会社の役割であると考える。「大家族主義」を掲
げており、社員食堂で皆一緒にランチを食べる等、10 ~ 70 代の社員と家
族のような雰囲気で助け合いながら働いている。「みんな、まじめな社員」
「社員さんの笑顔を作りたい」と社長は言う。ハイビックスは、日本のもの
づくりが生むビニール製品と人育てを大切にする。人の手によってビニール
製品に付加価値をつけて、日本国内の豊かな老後や豊かな生活を創造してい
こうとし続けている。

3.自社ブランドの海外進出
ハイビックスの今後の展望は、自社ブランドの海外進出である。OEM 生産
時に委託をしてくれていた同業者と競争にならないように海外進出を図る。
日本の高齢社会で生み出したメディカル用品を、成熟した海外の社会に対し
ても生み出す。しかし、新しいフィールドで自社製造するには更なる人育て
をしなければならない。開発品のヒアリング等をして今後売り先の確保もし
なければならない。次のステップとして製造開発や営業のバランスを保ちな
がら技術を売る形を考えている。売り上げを伸ばすよりも、社員とお客さん
のための永続的な発展を目指す。


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