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書籍や広告のデジタル化が進み、印刷業界は縮小の一途をたどっている。
そんな中でも、「中小企業だからこそ」の強みを生かし、
挑戦を続けている株式会社岐阜文芸社に、
愛知淑徳大学3年の山田さん・竹下さん、岐阜大学3年の塚原君が伺いました。

「紙かデジタルどちらかではなく、求められるものに対応」 印刷事業やマ
ルチメディア事業など、多くの事業を手掛ける岐阜文芸社。書籍や広告のデ
ジタル化が進み、印刷事業市場の縮小が進んでいるなか、何故、より市場を
狭める可能性のある事業を自ら手掛けているのか疑問に思っていた。しかし、
「情報を伝えること、残すことに媒体は関係ない」という飯尾社長の言葉を
聞き、その疑問は一掃された。印刷事業市場が小さくなろうが、情報を伝え
ること、残すことへのニーズが無くなることは無い。社長はそのニーズに応
えるため、多角化した社会に合わせ、市場を縮小する恐れがある事業にも積
極的に取り組んでいる。
「新しいことに挑戦し続ける」印刷事業は、最盛期には9兆円の市場規模で
あったが、携帯電話やパソコンの普及の影響で2000年から右肩下がりに減少
していき、現在は5兆円と、市場規模は3割以上縮小している。市場が縮小
しているなか、社長は進んで新しいことに挑戦することで、ニーズの変化に
対応してきた。大手の宣伝広告を手掛ける一方、自費出版事業も行っており、
またAR(拡張現実)という、スマホやタブレット端末と紙媒体の広告を結ぶ
新たな事業にも取り組んでいる。中小企業だからこそ、大手企業では手の届
かない部分へ対応でき、また大手企業との繋がりがあるからこそ、品質面で
の厳しさから技術に磨きがかかる。そこからまた次に繋ぐことができる。
自費出版事業では、お客様から直接「ありがとう」と心の底からの感謝の気
持ちを聞き、「本当に嬉しかった」と社長は笑顔で話した。「喜んでくれた
方の笑顔から、会社の存在意義を見出す」と言う社長は、何よりも情報を発
信することにこだわりを持ち、これからも新しいことに挑戦し続けると話す。
「情報を発信すること」紙にとらわれることなく、中小企業だからこそでき
る多くの新しい事業に、恐れることなく挑戦を続ける岐阜文芸社。今後は、
マルチメディア事業をより拡大させ、また自費出版にも一層力を入れたいと
飯尾社長は話した。これからも新しいことに挑戦し、情報を伝え残す手助け
をすることで、多くの人々に情報だけでなく、喜びを発信していくのであろ
う。

紙の質やインクの色味などの視覚的な質にコダワルのではなく使う人本意の
伝えることにコダワル、そんな印刷会社が岐阜文芸社である。ケータイでど
こからでもインターネットが使えるようになった今、印刷物の需要が下がり
つつある。手紙→メール、本→電子書籍、パンフレット→電子カタログ…
環境に配慮したペーパーレス化だ。最近では教科書までも電子化していく流
れにある。
岐阜文芸社の注目すべきところは、「形式にとらわれない」ところだ。社長
の飯尾賢氏は「人それぞれ大切なものが違う。それぞれ個々に対応していく
のだ」と言う。「一個人には簡単に見れ、配れる紙だし、法人には財務に優
しいペーパーレス化した電子カタログやうちが提供しているメーリング事業
などだ」。
岐阜文芸社では印刷事業以外に4つの事業をしている。マルチメディア事業、
セールスプロモーション事業、メーリング事業、「一隅を照らす」文化創造
事業だ。「一隅を照らす」文化創造事業は、自費出版支援のことだ。大手に
はなかなかできない、ここでしか出来ない取り組みである。社長は、この事
業をもっと活発に行っていきたいと言う。簡単で単調な仕事ではない。個人
がいて、その人が伝えたいと思うことを〝本″という形で表現していく。お
客様との信頼を築かならなければ出来ない仕事である。それでももっとやっ
ていきたいと思うのは、お客様が本当に喜んでくれるからだと言う。確かに、
お客様を自分の祖父母などに置き換えたら、その本は我が家の家宝になる。
家族に伝えたい、残したい思いが形として残るのは嬉しいものである。

社長は、バリバリの体育会系。指導の仕方は「好きなようにやらせる。ただ、
大切なポイントだけはちゃんと突く」。社長になる前に、同業他社で働いて
いた。そこで2人の全く性格の異なる上司と出会い、上に立つ人によってこ
んなにもやる気がかわるのか!と体験し、人の上に立つ者の難しさを知った
そうだ。だからこそ今の社長のスタイルがあるのだろう。「取引先が大手企
業だろうが中小企業だろうが自分たちの仕事に誇りを持つ」。そこには、お
客さんを大切に思っているからこそ、取引先に左右されにくいお客様本意の
仕事ができるのではないだろうか。

岐阜文芸社では、やりたい!と思うことを大切に商売として実現させるチャ
ンスがある。もちろんやるのは自分だ。形にとらわれず伝えることに正直で
あるからこそ、新しいことに挑戦し続ける。新しいことをやり続けているか
ら、一人に求められるスペックも大きい。だが、早い段階で仕事を任せても
らえるし、任される仕事が大きい分やりがいがあって充実しそうだ。

岐阜文芸社の魅力は「“やりたい”を商売にするための努力」である。“や
りたい”ことはペーパーレスが進む近年、印刷需要が低迷する状況におい
ても人や企業の“伝えたい”、“残したい”という想いに応えることだ。し
かし印刷業界は大手数社が市場シェアの半分近くを占め、残りの半分を
約35.000社の中小企業が支えている。岐阜文芸社はその中小企業の
うちの一つである。
この厳しい現状に対して努力し続ける岐阜文芸社の姿勢に注目していきた
いと考えている。
「紙が減るなかでもニーズに対応していくためには紙にこだわらず、電子
媒体も利用していく事がこれからの印刷業界では大切。」と飯尾社長は語
る。実際、販路開拓の手段としてサイネージ(電子広告板)やスマートフォ
ンを利用した新しい広告の開発を常に行っている。今までの紙媒体にこだ
わらず柔軟にニーズに対応していく事は岐阜文芸社の魅力の一つだ。
ただ、電子媒体を利用した会社は他にもたくさんある。その中で岐阜文芸
社が魅力的なのは、地元に根付いたビジネスもしっかりと行っているとこ
ろにある。具体的には自費出版事業がある。今までの印刷業界では企業対
企業の仕事が大半だったが、自費出版は個人対企業という新しい形の仕事
だ。この仕事は大手企業ではなかなかできない、中小企業だからこそでき
る地元に密着した仕事だ。なぜ大手にはできないかというと、大手は都心
に会社を構えているために、地方のお客様のニーズに応え辛いことが主な
理由である。
また自費出版をされたお客様にとても感謝されたときに、[印刷だからで
きること、中小企業の役割]を新しく確認できたと飯尾社長は話していた。
正直なところ自費出版だけでは会社はやっていけない。従来の印刷、出版
も行っているが地元に密着した”やりたい”こともバランスよくやってい
て、この努力が岐阜文芸社の最大の魅力だと思う。
商品の開発や地元への努力を支えている会社の雰囲気も魅力のひとつに感
じた。飯尾社長は、上司のあるべき姿は会社の雰囲気において重要である
と考えていて、しっかりと会社の方向性を示し、部下には仕事に主体性を
もてるように任せきることも大切であるとリーダーシップを発揮されてい
た。部下を想いやる事で一人ひとりが挑戦しやすい環境を整えているのだ
と思った。
岐阜文芸社の魅力は先にまとめたように「“やりたい”を商売にするため
の努力」であるといえる。中小企業にしかできないこと、中小企業だか
らできることと“やりたい”ことのバランスは岐阜文芸社ならではだと思
う。

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