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明治の創業以来、こだわりの酢造りを貫いている内堀醸造。
その酢造りに込められた秘密を、岐阜大学3年生の山口くん・塚原くんが
探ってきました。

内堀醸造の魅力に、「酢造り」に強いこだわりを持っていることがあげ
られる。

「酢造りは酒造りから」という基本理念に基づいて、内堀醸造だけがで
きる酢造りを日々探求し続けていると感じた。内堀醸造では、穀物酢や
米酢といった広く一般的に認識されている酢だけでなく、パイナップル
の酢やライチ酢といった、バリエーション豊富なフルーツビネガーも製
造されている。大手企業が広く穀物酢を製造、販売していくなかで、経
営資源少ない中小企業が大手に似た穀物酢を売り出していけることは難
しい。そこで内堀醸造では、大手企業がやらない酢の造り方、売り出し
ていかない商品で、大手企業と一線を画した。取材の中で内堀社長が酢
の持つ良さや内堀醸造が持っている強みを伝えたいとおっしゃっていた
が、ここに一つの形としてオリジナルの酢が生み出されたといえると思
う。

また、国内4か所に営業所を持つのにもかかわらず、東京や大阪ではな
く岐阜に本社を構えることも酢造りのためだそうだ。酢を売るためなら
ば、マーケットの動向をいち早くキャッチでき、多くの人がいる大都市
に本社を置くことがベストだろう。しかし、酢造りするうえでの決定や
方針をすぐに工場に反映できるように本社と工場は近くにあるべきとい
う考え方から岐阜に本社を構えている。

酢造りに対する一貫された思いは、内堀醸造の商品だけでなく会社の配
置にも反映されていると感じた。

また、内堀社長をはじめ取材に応じてくださった浅川さんや松原さんが
共通しておしゃっていたのは、内堀醸造にも御自身にも成長の実感があ
る、ということだ。3名そろって成長の手ごたえを感じることができる
のは、社内全体で酢造りに対する統一された意識が共有されているから
だ。社長御自身、朝礼や会議のような、社員とコミュニケーションする
様々な場面で、機会を逃さないようにして御自身の思いを伝えることを
心掛けていらっしゃった。社長御自身がその都度思いを伝え社員と共有
することで、共に学びあう姿勢を見せ、共に喜ぶことができる。これが
社内全体で会社や自身の成長の手ごたえを感じることのできる理由であ
る。

今回の取材で、内堀醸造の酢造りに対する熱い思いを感じることができ
た。日々、内堀醸造にしかできない酢を造ること、そしてそのための会
社や自身の成長を探求し続けている姿勢が様々な場面に表れていたと思
った。

お酢を造り続けて137年。「酢造りは酒造りから」と原料の醪(もろ
み)を造るところから手を抜かない。内堀醸造は酢の伝統を守りつつも、
フルーツの酢を造るなど、お酢の可能性を積極的に追及し続ける会社で
ある。内堀醸造の魅力を一言でまとめるなら「酢造り」にかける想いで
ある。この魅力は想いが単純にすごいのではなく、それを支えている土
台が魅力的だと取材を通して感じた。そのため、この想いを支える土台
から魅力を紹介していく。

一つは自分たちにしか造れないお酢を造り続けるというこだわりである。
中小企業は大手に生産力では勝てない、戦うべきでないと内堀社長は話
していた。ならばどこで戦うのか。それは、こだわり抜いた製造方法で
お酢を造り、このこだわりをしっかりとお客様につたえていくことで戦
っていける。内堀醸造の商品の良さが分かる人には他社の商品でなく、
内堀醸造の商品を買っていただける。つまり内堀醸造でしかつくれない
商品はお客様にとっては内堀醸造でしか買えない商品として市場に存在
価値を定着できている。

もう一つは会社全体の雰囲気がとても良いことである。これは社員のみ
なさんが確実に成長を実感できていることで、自分の仕事にやりがいを
感じられているためである。会社の将来を考えるなら、社員の成長が重
要でどんな役職の人でも成長の実感が、より会社を良くしていく事がで
きると内堀社長は語る。さらに成長の仕方にもポイントがあり、去年と
違っている実感を周りとしっかり共有できている事、共に学び合う姿勢
が大切で、成長を続けるために新しい挑戦が自然と連続していく事がポ
イントである。そうすることで成長と挑戦のサイクルがより良い環境、
商品を巻き込んでいく事ができて、会社全体の成長に繋げることができ
る。

以上の二つはより良い「酢造り」を支えているが、この二つを支えてい
るのは意識の共有ができていることである。これは内堀社長が上手くバ
ランスを取られていると取材を通して感じた。社長はとても気さくな方
で取材中にも社員さんにネクタイのズレを確認してもらうなどの何気な
いやりとりから、社長と社員の距離を感じさせなかった。

さらに内堀社長は自分の想いをその時の気持ちでしっかり伝えるように
し、情報の開示は良いことも悪いことも知らせる事を実践している。社
長の人柄と情報共有の実践は社風として意識の共有を社員同士でも根付
かせる事が出来ていると感じられた。

内堀醸造は「酢造り」にこだわりを持っている企業だ。ただ、このこだ
わりを会社全体で共有でき、共に学び合う事のできる環境が支えている。
さらにこの環境は社長が根付かせてきた厚意や友情が土台となっている
ように思う。内堀醸造の魅力は「酢造り」だが、その背景があるからこ
そ、「酢造り」が大手にも負けない魅力になっていると取材を通して感
じた。


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