ちらし屋ドットコムは、ホームページの企画、制作、運営を中心にWebを活
用した情報発信、販促をプロデュースする。クールなイメージがあるIT業
界だが、昔ながらの「ちらし屋」のイメージで展開する企業だ。愛知淑徳
大学2年の山崎さん、高山さん、1年の大野さん、名古屋女子大学3年の
西科さんが、人懐こい笑顔の河田社長の野望を垣間見てきました。
株式会社ちらし屋ドットコムはホームページの企画・制作・運営を行う会
社である。設立から14年経ち、ホームページ制作実績岐阜県No.1を誇る。
今まで作成したサイトは1600サイトを越え、ラーメン屋から自治体まで、
さまざまな業種業態と取引している。その取引先の9割が岐阜にある。
超ローカル。しかしグローバルな展開も行っている会社である。
通常のホームページ制作会社では、メールだけで顧客とコミュニュケーシ
ョンを取ることがあるが、株式会社ちらし屋ドットコムでは必ず顧客と顔
を合わせて売り込みをし、仕事を受注する。顧客と顔を合わせて売り込ん
だり、無料で顧客に対して勉強会を行ったりするのは、すべて株式会社ち
らし屋ドットコムの根底にある、「デジログ」という考え方である。
「デジログ」というのは、人間は皆、ITツールだけで完結せず、常にアナ
ログな側面を持ち合わせているという考え方である。メールで連絡を取る
よりは、ファックスした方がいい。ファックスをするよりは、直接会った
方がいい。「デジログ」という考え方はちらし屋イズムとして社員にも伝
わっており、現在も実践されている。人対人を重んじる姿勢から株式会社
ちらし屋ドットコムは口コミで顧客を獲得している。昼のゲームセンター
でつかまえたプログラマー集団が株式会社ちらし屋ドットコムになってお
り、始まりもアナログな始まりと言える。
ホームページを作成しただけで終わりではなく、株式会社ちらし屋ドット
コムは毎月顧客に対してちらし屋アカデミーと呼ばれる勉強会を顧客に無
料で行っている。ちらし屋アカデミー自体はクレームから生まれている。
顧客が困っていることを解決するためにサービスも多様化している。
ホームページの企画・制作と聞くと専門の知識がないと働けないと思いが
ちだが、株式会社ちらし屋ドットコムでは経験者ではなく、好きじゃない
と続けられないという考えから理系文系を問わず、「やりたい」という思
いだけでホームページ作成に従事する社員が多い。ウェブの知識などは実
践で叩き上げていく。5,6年、別の業務をしてからデザイナーに転向する
社員もいた。
株式会社ちらし屋ドットコムの今後の展望は化粧品などの通信販売を行っ
たり、シンガポールなどの東南アジアに日本の優れた商品、サービスを広
めたりすること。
株式会社ちらし屋ドットコムのまきちらしは、人との繋がりで今後も続い
ていく。
岐阜県各務原市に本社を置く株式会社ちらし屋ドットコムは2000年6月に
設立された企業である。事業内容はホームページの企画や制作から、
Facebookの構築代行サービス、企業のサイトを無料で診断する「WEB無料
診断」等、多数のサービスを行っており、名古屋市、中国吉林省、沖縄県
にも展開している。
ちらし屋ドットコムの最大の魅力は、デジタルとアナログを融合させた
「デジログ企業」を目指していることだ。デジタルの意味は先述したよう
にホームページの制作等のITを使用した事業内容である。アナログの意味
は会社内や依頼主、セミナーの受講者とコミュニケーションを取ることで
ある。「ちらし屋イズム」という主義で、メールよりもファクシミリを、
ファクシミリよりもface to faceでコミュニケーションを取るという意
味合いである。ホームページ制作の依頼を引き受けた後も、依頼した企業
との関係を絶たせずに勉強会の勧誘等のアフターフォローをしている。
日々、進化を遂げるIT業界において地方で14年間も活動を続け、海外へ事
業展開できた理由は、アナログの面を忘れなかったからであろう。
この取材を通して最も印象に残ったことは河田社長の人間性である。河田
社長は自主性の強い方で、あるエピソードを聞かせて下さった。中国へ出
張した際、中国市場に好奇心を示し、韓国やアメリカの製品にライバル意
識を感じたそうだ。これをきっかけに河田社長は著しい経済成長を見せる
中国で日本の中小企業の製品を提供したいと思い、中国進出を目指した。
そこで夢を実現する為に中国の市場情勢を知るために中国に移住したので
ある。この自主性はちらし屋ドットコムのスタッフさん達にも影響を与え
ており、「やりたい仕事をやって欲しい。ただし、人から教わるよりも自
分から努力して学ぶようにする」という河田社長の考えから好きな仕事で
一生懸命に働いているという。
また、河田社長はスタッフさんを大切にしており「自分が褒められるより
もスタッフさんが褒められることが嬉しいこと」とおっしゃった。
現在、河田さんは45歳だが50歳の若さでちらし屋ドットコムの代表権を譲
ると10年前から計画立てており、引退後は岐阜県の名産品を作ると将来に
ついても教えて下さった。
今回の取材を通して見習わなければと感じたことがある。それは将来を見
据えて自主的に動く河田社長、「好きこそものの上手なれ」というポリシ
ーで、はつらつと働くスタッフさん、人々とのコミュニケーションを繋げ
ながらWeb制作等に挑む「デジログ」スタイルを取るちらし屋ドットコム
の姿だ。
ちらし屋ドットコムの創立は、ドットコムバブルのあとの2000年。2人ほ
どで始められたそうだ。声をかけて誘って会社で働く人の人数を集めたと
いうところから、いまどきのデジタルでは味わえない、アナログらしさが
伝わってきた。また、「メールを送るならFAXを送れ、FAXを送るな
ら電話をしろ、電話をするなら会え」というちらし屋イズムに感動した。
今日のビジネスの場では、メールが当たり前の連絡ツールになっていると
思う。
働いている社員さんも、素人からプロになっていて、それまでにとても大
変な苦労をしていたはずだ。専門的なことをやってきた人間でなく、素人
が、自発的に勉強し、努力することで何でもでき、自分の能力を高めて成
長できるなんて、その人たちは、本当に好きだからこそ頑張れたのだし、
それこそがアナログではないかと考えた。
そして、社長さんは、社員の方々を大事にされている、本当に素敵な方だ。
社員さんには、やりたいことをやらせていて、社員さんが他の方に褒めら
れると、ご自分のこと以上にうれしく、モチベーションが上がるとおっし
ゃっていた。また、「岐阜のお土産が“ない”を“ある”に実現したい」とい
う熱い思いを持っていて、地元に誇りを持っているのだなと思った。だか
らこそ、地元にいながらにしてグローバルコミュニケーションをすること
を大切にしていらっしゃるのではないだろうか。
そんな、ちらし屋ドットコムは、ホームページ制作実績岐阜No1の企業ら
しい。社長さんは、「デジログ的な考え方や銀行・信用金庫・税理士から
の口コミでお客さんが増えていく、アナログ重視の考え方があるからでは
ないか」とおっしゃった。
アナログばかりでは経営が立ち行かない企業も世の中にはあるかもしれな
いが、地元の中小企業を中心に、アナログの良さを少しは取り入れて、
人々の輪が広がると良いと考える。
仕事はオンラインなのに、オフラインを重視した会社、ちらし屋ドットコ
ムを訪問し、社長と直接話して何より感じたことはそれだ。
メールをするくらいなら電話、電話するならいっそ会いに行く、より近距
離で相対することがちらし屋イズムだと社長は言った。実際に取引先には
できるかぎり赴き、定期的に話をしに行くようにしているという。その話
の内容が、たとえ仕事に直接関わりのないことでも、わざわざ足を運んで
ご用聞きすることで、その細やかな繋がりが次の仕事に結びつくのだ。オ
タクのように細に微に入り細を穿つ仕事ぶりの反面、人とのコミュニケー
ションのなかで需要を見いだし、そのために自分たちが何かしようと思う。
社長は自らも含め社員を明るいWebオタクだと自称する。
そんなちらし屋ドットコムは他のウェブデザイン会社に比べ、仕事内容も
手広く行っている。そのなかでも特徴的なものに「ちらし屋アカデミー」
がある、サイト運営のための基礎知識を学べる講習会のようなものだ。私
が調べた限りでは、他の会社にこんなサービスは見られなかった。これは
もともとクライアントの要望から始まったもので、クライアント本人がサ
イトをきちんと管理し、集客に繋げていくためのアフターフォローを兼ね
ている。アカデミーの他にもSNSの代行、名刺のデザインなど、ただサイ
トで作るだけでなく、求めに応じて増えていった。
世の中のニーズに応えて常に変化を厭わない、アンテナを張り巡らし、画
面の向こうの需要にいつでも対応できる柔軟さがちらし屋ドットコムには
ある。
ちらし屋ドットコムの「ちらし」は情報を撒き散らすことだと言う。それ
もワールドワイドウェブを媒体にする仕事柄、日本の情報を世界にまきち
らすことこそが命題だ。まだ世界に向けて情報発信をすることにためらい
のある企業の多いなか、それでも情報鎖国の強い中国でさえ、支社を立ち
上げることのかなったちらし屋ドットコムならきっと成し遂げることがで
きる、そう感じた。
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